9日てんでんこ 福島に住む9

朝日新聞2017年4月7日3面:「気負わずに、やれる範囲でやればいいんだよ」。地元の女性が助言してくれた。 東京都杉並区の職員、花岡高行(31)が、復興のために派遣された福島県南相馬市で駅前カフェを開こうと思い立ったのは、昨夏だった。相談した相手が、現地で知り合った元システム会社員の森山貴士(30)だった。
森山は、オフィスとして使っている古民家で計画を練った。2人は初め、コンテナハウスで本格的なカフェを構えようと考えていた。だが、花岡が市の職員に相談すると、建築基準法による建築確認の申請が必要なことがわかった。詳細な設計図面を提出しなければならず、時間がかかる。
急ぐ理由があった。 17年4月に、地元で県立高校の開校が決まっていた。原発事故の後、5年4カ月にわたって避難指示が出ていた場所だ。花岡は言う。「子どもが地域にいないと、街の活気は取り戻せない。学校に通う生徒たちが憩える場をつくることで応援したかった」
困っていると、別の職員が花岡に教えてくれた。「移動できるキッチンカーなら手続きはいらないぞ」森山の親戚が所有する日産マーチを借りて始めようとした。すると、「私の軽ワゴン車を使いな。その方がキッチンカーらしい」。地元の女性がそう申し出てくれた。
カフェづくりの相談に乗っていた広畑裕子(58)だ。「『復興支援』と気負わずに、やれる範囲でやればいいんだよ」そう助言してもらったこともある。キッチンカーを止めるJR小高駅前の場所も広畑が課してくれた。
花岡は、喫茶店の営業許可を取るため、保健所に通った。手先が器用な森山は、車の改造を担当し、ホームセンターで材料を集めた。銀色だった外装をペンキで白色に塗った。開業前の昨年暮れ、おしゃれなキッチンカーができあがった。でも、素人の作業なので、ところどころに銀色が透けて見えた。(鹿野幹男)

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