9日 人生の贈りもの 和田アキ子【7】

朝日新聞2017年6月6日27面:「おなかすいた」森繁さん宅へ 芸能界には変なジンクスがあって「体の大きな女性は売れない」ものそ一つ。「じゃあ、小さい女はみんな売れるのかよ」と反発しましたが、私もかかとの高い靴をしばらく履かなかった。いや、履けなかった時期があるんです。
確かにテレビでは、芸能人は大きく見えるのですが、実際は小さい人が多い。歌番組のエンディングでは出場者全員がよく舞台に上がりますよね。「そばにくるんじゃねんよ。ちっちょく見えるじゃねえか」とその昔、文句を言われたこともあったんです。誰とは言えませんが…。楽屋でも「あんたがいると着替えづらいわよ。出てってくんない」。靴に落書きをされたこともありましたよ。「ミナミのアコ」と恐れられた私です。でも手を出したら最後。ぐっとこらえてトイレに駆け込み、わーわーと大声であげて泣きました。
 ≪そんな中で可愛がってくれたのが芸能界の大御所で俳優の森繁久弥さんである。テレビドラマの共演がきっかけだった。「あいつは泣き虫だということは人がいいんだ。昔のことは知らないが、愛に飢えていたのかな」と話していた≫ 私の誕生日をお赤飯とタイで祝ってくれたり、世田谷の自宅の庭に咲いている桜の枝を切ってプレゼントしてくれたり。「爺」と慕っていました。仕事がうまくいかないときも何度長電話したことか。
奥さまのことは「杏子ママ」と呼んでいました。大阪から1人で上京してきた私にとっては東京のお母さんなんです。「ママ、おなかすいたあ。今夜行ってもいい?」と電話をかけるんです。 ≪母はもう1人いた。俳優の山岡久之さんだ。これもドラマがきっかけ。朝食を作ってくれたこともあった≫
前の晩、新宿で飲んで寝過ごしてしまい、収録時間に遅刻したんです。「あんた、ドラマを何だと思っているの」と本気でしかられましたね。人の和や時間厳守などプロとしての意識の大切さを教えてくれたのが山岡さんでした。(聞き手 編集委員・小泉信一)

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