9日てんでんこ南海トラフ15

朝日新聞2017年3月6日3面:授業中、休み時間、昼休み、始業前にも訓練。「地震や津波なら上へ。火災なら外へ」 突然サイレンが鳴り、校内放送が流れた。「地震です。避難してください」。昨年12月10日正午前、静岡県焼津市の和田小学校。この日、訓練があると知らされていたが、時間は予告されない「抜き打ち」訓練だった。「頑張れ。もう少しだよ」。上級生が下級生に声をかける。
全校児童約370人が最上階の4階を目指して階段を上った。校舎は海まで約1キロあるが、標高は2~3メートルだ。今年度の訓練は、この日が8回目。焼津市教育員会は、市立小中学校22校に、年10回を目安に訓練するよう呼びかけている。
授業中、休み時間、昼休み、始業前など、好調の曽根豊(58)は職員らと工夫を凝らしてきた。様々な状況を想定して訓練を繰り返してきた。「地震や津波なら上へ。火災なら外へ。状況に応じて避難先が変わる」学区は人家や工場が点在。田畑も多く、津波から避難できるビルも数少ない。登下校時に揺れが来たら、学校と自宅のどちらに向かうか。児童がいる場所によって取る行動を各家庭と相談して決めている。
午前中の体育館では、6年生が数人ずつ、図面を前に額を寄せ合っていた。「まず、どこを通路にするのか決めないと」「赤ちゃんや病人の部屋も必要だよ」 学校に避難してくる住民を1人1枚のカードで表し、カードをめくっては、体育館や校舎の図面に並べていく避難所運営ゲーム(HUG)だ。カードには住民の年齢や性別、持病や家族構成などが書かれ、カードをめくるたびに収容する住民が増えていく。避難所運営の難しさと忙しさが体感できる。
この日は学校公開日。「小6になるとこんな複雑なこともできるのね」、参観する母親のひとりが漏らした。指導した市職員は「住民が自力で運営できれば、行政は他に力を注げる。子どもも貴重な戦力です」と話した。
自身や津波では助かっても、避難所で健康を害して命を落とすこともある。この日、6年生は、救命や搬送の方法も学んだ。曽根は「助けられる側から助ける側に一歩踏み出す。6年間の防災教育の大きな区切りになれば」と話した。(大内悟史)
備え 避難の場面では防災教育を受けた子が大人の助けに (静岡大の岩田孝仁教授)

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