8月18日 オトナになった女子たちへ 伊藤理佐

朝日新聞2019年8月16日21面:マネージャーの夏 わたしの「未知」という名の、真っ黒い宇宙には、「算数」とか「物理」とかが浮かんでいるが、ちがうほうを見ると、「社会人」とか「経理」「総務」などの職種もプカプカしている。「なにをするのかわからない」銀河、キラキラの天の川。その壮大な川の中に「運動部のマネージャー」がある。サポートされたい体質のわたしに、人をサポートする気質は、永遠のゼロ。チャレンジしても、レモンの蜂蜜漬けタッパーを監督のアタマにぶちまけたりする。きっとする。こんなわたしが、この夏、野球部のマネージャー気分を味わった。大工さんがやって来たのだ。つーか、呼んだのはわたしだ。10日間の強化合宿となった。いえいえ、押し入れの改装を3カ所頼んだら、「10日間かかります」と言われたのだ。大工さんに出す10時と3時の「おやつ」が、わからないのだ。押し入れは家の中だけど、木を切ったりの作業は、外の駐車場。東京、連日、34度。勝って欲しい・・じゃなくて、作って欲しい。大工さんは60歳手前だろうか。お一人でやってくる。出し過ぎもちょっと。何種類かカゴに入れてさ、毎日少し入れ替え、してさ。「お煎餅は、入れよう」ヨシダサンが「煎餅」に「お」をつけた。個別包装、源氏パイ、一口羊羹、手をつけやすいヤツね、ウェハース系もイイネ。自分が食べるみたいにキラキラしている。相談してよかった。毎日ウェハース系が減る。人気。お好きなのね。増やす。カゴの中はちょっとした「俺の作品」。「当てた感」が楽しい。えらいなあ、と思うのは、その日のゴミを全部持って帰るのです。植木屋さんもそうだ。なので、ショック、うちのゴミ箱にウェハースのゴミがあった時、ヨシダサンが「作品」に手を出したことが判明した。食ってた。カゴをさげる時、ちょうだいしてた様子。ウェハースが好きなのはヨシダサンだった。わたしの夏は終わった。しかし、押し入れは立派に改装された。(漫画家)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る