7月18日 #選挙のぎもん 募ったら

朝日新聞2019年7月16日夕刊1面:選挙ポスター必要? 費用2.2億円「役立った」9.8% アンチ票を投じたい「落選運動」前回参院選で注目 選挙って、なぞだらけ!? 読者の困りごとや疑問を取材している朝日新聞「#ニュース4U」が、今回の参院選に向けてSNSで「#選挙のぎもん」を募集した。すると、素朴な問いかけが次々と寄せられた。 寄せられた疑問の一つは、「そもそも選ばれる国会議員の定年は?」。参院事務局によると、「特に規定はない」。内規で定める政党もあり、例えば自民党の場合、「特例」もあるが参院比例区の定年は70歳としている。「選挙を行うと多額のお金がかかるというけど、何のお金?」。総務省によると、今回の参院選で予算計上した経費は約571億円。大部分が都道府県などの選挙管理員会への委託費で、公職選挙法に定められた各候補の選挙運動の費用にあてられる。具体的に「膨大な量の選挙ポスターは、お金の無駄ではないか」と質問したのは大阪府河内長野市の塾講師の男性(69)。
街中のあちらこちらにポスター掲示板ができるのが選挙の風景の一つだが、総務省は今回の参院選のポスター製作費として約2億2千万円の予算を計上した。ポスターの費用は各候補者がいったん負担するが、選挙後に当選者優先で上限を設けて希望者に交付される。選挙の啓発運動をしている公益財団法人「明るい選挙推進協会」(東京)によると、2016年の前回参院選後に有権者3千人を対象にした調査で、「参院選で見たり聞いたりしたもの」(複数回答、有効回答2004人)として回答が最も多かったのが、掲示板の候補者のポスターで46.7%。「役に立った」と答えたのは9.8%だった。ただ、「ポスターをなくすのは更なる投票率を低下を招くのでは」と指摘するのは、選挙プランナーの松田馨さん(39)。ポスターで名前を見て調べる有権者が増えているのか、投票日に選挙情報サイトや候補者のホームページへのスマートフォンからのアクセスが増える傾向があるという。スマートフォンの普及に伴ってここ数年、ポスターに自身のホームページQRコードを掲載する候補者も増えているという。選挙カーや街頭で名前を連呼する選挙運動のスタイルも長く変わらないが、松田さんは「政策を読み比べたり、演説を聴き比べたりして判断する有権者が増えれば、ポスターも連呼も廃れていくでしょう」と話す。
一方、投稿の中には選挙制度に関する提案もあった。投票したい候補者はいないが、当選してほしくい候補者はいるー。東京都多摩市の主婦(44)あ「アンチ票(マイナス票)を新設できないか」とLINEに書いた。想定するのは、各候補が積み上げる票(プラス票)からアンチ票分が差し引かれる仕組み。「〇」ではなく「×」印で有権者が投票でする例には。最高裁裁判官の国民審査があるが、過去に罷免された例はない。また、アンチ票と似た考え方で、海外では盛んに行われ、日本でも前回の16年参院選で安保法制をめぐって注目された「落選運動」がある。特定の候補者の落選を促す行為は、総務省のガイドラインでも規制はされていない。ただ、林大介・首都大学東京特任准教授(政治学)は、対立候補を当選させ、当該候補を落選させる方法を勧める。「アンチ票は面白い考え方だと思いが、じゃあ誰を選ぶのか。落選させても世の中は当選した議員で動いていく」と話す。
政治の話はタブー? 友人と議論「2割」「そもそもなぜ、身近な人と政治の議論をしないの?」。こんな疑問を寄せてくれたのは、東京都足立区のフリーデザイナーの女性(38)。制作や選挙について、自身が家族や友人らと話さない理由について、「まず、考えたことがない人が大半で議論にならない。政治的議論が人間関係にも影響するように感じる」とLINEにつづった。日常で政治の話題は「タブー」なのか。秦正樹・京都府立大講師(政治心理学)らの研究グループがネット上で実施した16年の調査(16~29歳の男女、計約2千人)では、日常会話で政治を話題にしたり、議論したりする頻度について、「まったくない」と46%が回答した。秦講師は「『政治と宗教と野球の話はしない方がいい』と昔から言われる。周囲と敵対しないため、支持政党を明かさないのが社会でのマナーとされて政党の話が出ない」と指摘する。明るい選挙推進協会の16年の15~24歳男女計3千人へのネット調査では、家族との政治についての会話が「よくある・時々ある」が約4割だった。さらに友人とはそれが約2割にとどまった。小玉重夫・東京大大学院教授(教育政治学)は「親子間の会話だけでは、親の政治思想や主義主張が及ぼす子どもへの影響が大きい。友人らと政治について議論し、多様な考え方を身につけることが望ましい」と話す。(波多野大介、山根久美子)

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