7日 てんでんこ 福島に住む7

朝日新聞2017年4月5日3面:毎週土日、カフェがJR小高駅前に現れる。店主は市職員だ。 カフェ「OMSB」は毎週土日、福島県南相馬市にあるJR小高駅前に現れる。カフェといっても、軽ワゴン車を改造したキッチンカーだ。
店が開くのは午前9時から午後3時まで。メニューはコーヒー、紅茶、ココア、緑茶の4種類だ。1杯300円のコーヒーは深煎りと浅煎りの豆が選べる。3月下旬の週末、注文が入ると、店主の花岡高行(31)が豆をひき始めた。
震災前、小高駅の乗降客は1日平均で約1600人いた。それがいまは70人ほどしかいない。駅を含めた一帯は昨年7月まで原発事故の避難指示区域だった。
解除後、人が住めるようになったが、戻ってきたのは1割ほど。駅前は、食堂とすし屋、旅館、食料品を扱う仮設商店があるだけだ。駅を利用する人にとって、OMSBはちょとした憩いの場となっている。入れ代わり立ち代わり客が訪れる。ふるさとの様子を身に戻った60代の女性は、店のベンチの腰掛けながら言った。
「やっぱり小高に来ると落ち着く」 家屋を解体する作業員や、他県から訪れるボランティアも、ここで1杯を飲みながら、つかの間の暖を取る。
花岡の本業は、地元市役所の企画課の職員だった。役所の了解をとって、休日だけ、個人の店として昨年12月に始めた。花岡は業務で市内の被災地を回ることが多い。自宅に戻るため、荒れた家を片づけている避難者を見つけると、良く話しかける。だが、彼らがひと休みできる場所が周りにはない。だったら自分でつくろう。OMSBには「小高を結ぶ」という意味を込めた。
東京都杉並区は震災前の2007年、災害時に職員を派遣して援助する協定を結んだ。震災を受け、南相馬市に派遣する職員の募集に自ら手を挙げた。震災から6年たった今年3月11日、花岡はOMSBであることを仕掛けた。
太陽光で発光するソーラーライト付きの1杯500円コーヒーを売り出した。用意した20個は1日で売り切れた。
地元の復興を願う高校生の提案が花岡を後押しした。(鹿野幹男)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

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