6月9日 甲子園で落球 匿名の悪口

朝日新聞2019年6月4日26面:身近な人かも疑念拭えぬまま 甲子園の空に、白球が高く上がった。愛知県豊橋市の鈴木教真さん(21)は2015年春、豊橋工の二塁手として高校野球の選抜大会に出場した。同点だった七回2死満塁、内野と外野の間のフライを追いかけた。捕れればピンチを切り抜けられたが、グラブに当てながら落としてしまう。チームは3点を失い、敗れた。そのあとのことは、あまり覚えていない。地元に帰っても「自分のせいで負けた」と自責の念に押しつぶされそうだった。チームメートや家族の励ましを受け、新学期にグランドに戻った矢先、落球についてツイッターき書き込まれていることを知った。「セカンドのエラーで負けた」「容疑者」ー。スマホの画面を通して目に飛び込んできた言葉に、背筋が凍った。「気にするな」と言ってくれる人もいた。「そうだよな」と思う自分もいたが、それ以来、励ましの言葉を100%信じることができなくなった。「ツイッターはみんなが当たり前のようにやっていたし、裏アカを持っている人もいた。もしかして、身近に書き込んだ人がいるかもしれない」。4年が経った今、エラーのことは笑って話せるようになったが、疑念を拭い去れないままだ。引退後も自身もツイッターを始めたが、安易な発言には注意を払う。「悪口を書いた人も、もしかしたら軽い気持ちだったのかもしれない。そうだったら本当に恐ろしい。僕は、『死にたい』と思うほど悩んだから」。写真もあまりアップしない。「悪用されたら、自分から修正することはできない」と感じているからだ。心ない言葉は、今もインターネット空間に残る。「誰かもわからない人の投稿を、自分で変えられないのが、SNSの怖いところだと思う」
中傷ツイートに凍結対策 SNSで、不特定多数の人から攻撃を受ける例は後を絶たない。スポーツがきっかけとなったことは他にもある。17年夏の甲子園では、接触プレーにツイッターで注目が集まり、特定の選手を傷つける投稿が続いた。選手は次の試合に出場できず、監督は「そのような精神状態ではなかった」と説明した。昨年、高校の留学生がバスケットボールの試合中に審判に暴力を振るった際は批判に交じり、人種差別的な発言が渦巻いた。アメリカンフットボールの「悪質タックル」問題でも、関係した選手の人格を否定するような投稿が相次いだ。ツイッター社も、こうした事態に神経をとがらせる。同社によると、日本は世界で2番目に利用者が多い。ツイッター・ジャパンの服部聡・公共政策本部長は「未成年も大人も関係なく、世界とつながることができる一方で、それがゆえの怖さもある」と話す。昨年3月には創業者のひとり、ジャック・ドーシー最高経営責任者が「公共の場での会話の健全性、公開性、マナーのレベルを向上させ、過程をオープンにする」という趣旨の方針を宣言した。今年1~3月には世界中で、誹謗中傷を繰り返すものを含め、問題のるアカウントを10万件凍結するなどの対策を公開した。ツイッター社は「自由に発言できる場とはいっても、人を攻撃するような投稿を表現の自由とは言わない。ルールを守ってもらえるよう、積極的に発信していきたい」としている。
日本で10代の約8割が使っているとされるLINEも、コミュニケーション講座を各地で開催し、利用のコツを伝える教材「SNSノート」を開発するなど取り組みを始めている。同社の江口清貴・執行役員は「ネット上でのいじめは急に発生わけではない」と話し、「過激な発言をしないよう抑制的になることや、テキストでのコミュニケーションの特徴、自分にとっての当たり前が他人にとってはそうでなことを伝えていくことで、予防と対策につなげたい」と期待する。「現段階では手応えをはっきりとは把握しづらいが、続けていかなければならない」(高岡佐也子、円山史)

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