6月9日 年金どこまで減る?

朝日新聞2019年6月4日3面:私たちの年金の水準は、これからどうなっていくのかー。そんな100年先までの年金の見通しを5年に1度チェックする。年金財政検証の結果を近く政府が公表する。将来もらう年金額が、その時の現役世代の収入の何%まで下がっていくのかが焦点になる。 財政検証 政府、近く発表 財政検証は、年金制度の「定期健診」とも呼ばれている。2004年、当時の小泉政権が人生100年時代の到来を想定し、100年間持続できる制度を目指して年金改革を行った。財政検証は、この時に導入されたもので、今回で3日目になる。日本の年金制度は、自分が納めた保険料を後で受け取るのではなく、その時の現役世代が受給世代を支える仕組みだ。今後さらに少子高齢化が進んで「支え手」が減り、「支えられる側」が増えていけば、現役の負担は際限なく膨らみかねない。それを防ぐため、04年の改革では現役が負担する保険料率の上限などの枠組みを決めてしまい、保険料収入と積立金、国庫負担までまかなえる範囲で年金を支給する仕組みにした。支給額を調整するために導入されたのが、現役世代の減少や平均余命の伸びにあわせて、自動的に年金水準を引き下げていく「マクロ経済スライド」という仕組みだ。保険料収入や積立金などの財源と年金給付がつり合い、向こう100年間の年金財政の安定が見込めるまで、支給水準を下げていくことも決めた。財政検証では、このマクロ経済スライドによる年金水準の引き下げをいつまで続ける必要があり、終了時に、65歳で受給を始めるモデル世帯(40年間働いた会社員と専業主婦)の厚生年金が、その時の現役世代の平均収入の何%になるか(所得代替率)を点検する。政府は、「50%以上」を維持することは約束している。
利回り設定「厳しめ」 財政検証では、将来の物価や賃金などの前提が異なる複数のケースを想定して試算する。前回14年の検証では、8ケースを検討した。一定の経済成長を見込んだ5ケースでは、年金水準の引き下げが終わるのは43~44年、モデル夫婦の所得代替率は50.6~51.0%だった。14年時点の所得代替率62.7%と比べると2割減り、国民年金部分にが限ると3割減だった。低成長の3ケースでは、引き下げの終了は50年以降にずれ込み、所得代替率は50%を下回った。今回の検証では6ケースを設定。前回の経済前提で、運用利回りの設定(1.0~1.7%)が「甘い」と批判されたことなどを踏まえ、今回は0.4~1.7%と「厳しめに設定した」(厚生労働省幹部)。また内閣府の中長期試算に基づき、実質賃金の上昇率も下げた。賃金の伸びの鈍化は保険料収入に響くため、財政見通しにはマイナス要素だ。年金水準を引き下げるマクロ経済スライドも、デフレ時には実施しないルールがあるため、導入から10年以上も実施されていなかった。ようやく15.19年度に実施され、19年度は過去の実施分を上乗せして下げる「キャリーオーバー」も初適用された。だが、毎年の実施を見込んでいた前回の財政検証に照らせば、改善ペースは遅れている。一方で、プラス要素もある。16年からは、パートへの厚生年金の適用範囲を拡大。従来は週30時間以上が対象だったが、従業員501人以上の企業で働くなど一定の条件を満たす週20時間以上の人にまで広げ、17年には500人以下でも労使合意があれば適用できるようにした。厚労省によると、約40万人が新たに厚生年金に加入した。財政検証では、これらの経済前提や制度改正を踏まえた結果が示されることになる。
 制度改正の例も試算 現状では国民年金だけに入っている人や、満額を受給できない人も多く、50%以上なら老後の安定が保障されるわけでもない。そこで財政検証では、少しでも将来の年金水準の低下を食い止めるため、もっと「支え手」を増やす制度改正をした場合の試算も示す。今回は、年金の受給開始年齢を70歳でも選べるようにした場合▽厚生年金の適用対象者をさらに広げた場合ーなどだ。夏の参院選以降、こられを含め改正案が具体的に検討される可能性がある。(山本恭介)

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