6月9日 家事のお値段「2」

朝日新聞2019年6月4日夕刊9面:どうやってお金に換算するのかな? 家事などの無償労働を貨幣評価する必要性は、世界中で認識されている。だが、国際的な基準がまだないのはなぜだろう。「何をどこまで無償労働に含めるのか線引きが難しく、国や研究者によってバラバラなのが現状」と、内閣府経済社会総合研究所の主任研究官私市光生さんは説明する。たとえば、庭をきれいにする「ガーデニング」。掃除や片付けにあたると考えれば「労働」と言えるかもしれないが、楽しみとして行っている活動なら、「趣味」の領域かもしれない。家事には、趣味と区別が難しい活動が含まれているため、どこまでを貨幣評価の範囲とするかで一致させるのが難しいという。ちなみに、内閣府の推計では、家事に「園芸」という項目まではあるが、野菜や果物を作る家庭菜園と決められている。
では、実際に、無償の家事をどのようにお金に換算しているのだろうか。無償労働の貨幣評価の方法は、大きく分けて二つある。「機会費用法」と「代替費用法」だ。機会費用法は、家庭内で家事をしている人が家庭外で働いたとしたら、いくら稼げるかを表す。家事をした時間に、男女別・年齢階層別の1人あたりの時間給をかけて算出する。2016年の場合、30~34歳では男性1739円、女性1502円などとなっている。この時間給には、医師や弁護士など専門職も含まれているため、他の方法と比べて高い金額が出るのが特徴だ。代替費用法は、第三者にその家事をやってもらえたと仮定して、いくら払うのかを表す方法だ。
この方法には、さらにスペシャリスト法とゼネラリスト法という2種類がある。たとえば、料理なら、調理師に置き換える場合はスペシャリスト法、家政婦など家事援助サービスに置き換える場合はゼネラリスト法となる。現在、国際的にはゼネラリスト法が推奨されている。内閣府の16年の推計では、専業主婦にあたる仕事なしの妻は、機会費用法で年間304万5千円、スペシャリスト法で247万9千円、ゼネラリスト法で228万9千円だった。女性自身が、家事の値段を評価した調査もある。「掃除・洗濯」959円、「食事の準備・後片付け」1097円、「PTA活動」1098円、「未就学児の育児・世話」1488円・・。ソニー生命が今年3月、全国の20~69歳の女性7千人を対象にしたインターネット調査で、家事・育児を時間給に換算すると、いくらになると思うかを尋ねたところ、平均ではこんな金額だったという。13年以降の5回の調査では、調査した家事の時間給のほとんどが右肩上がりに増えている。特に「未就学児の育児・世話」は13年から19年にかけて308円も上がった。同社は「『家事労働は、難度や貢献度が高い』という認識が女性に浸透しつつあるのではないか」と分析している。(杉原里美)

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