6月8日 子どもの安全対策できることは

朝日新聞2019年6月3日25面:逃げ方・身の守り方 日頃から確認 川崎市でスクールバスを待つ児童らが殺傷された事件は、子どもを守るための安全対策がいかに難しいかを改めて突きつけています。保護者にできることは。地域でやれることはー。取り組みを続ける人や専門家らに話を聞きました。 保護者 子どもが犠牲になる悲惨な事件が起こるたびに、これまでも地域での見守りや集団登校の推進など様々な対策が講じられてきた。だが、今回の事件は「保護者や見守りの有無を問わずに発生した、子どもの防犯対策の想定を超えた事件だった」と、全国で地域の防犯活動の市道に携わる安全インストラクターの武田信彦さん(42)は話す。登校中の児童たちは十数秒という短時間に次々と襲われたとみられ、「1.2人の大人で子ども全員を守ることには限界がある」。
こうした無差別に人を襲うような犯罪から身を守るため、子どもたちにはどんなことを伝えられるだおろうか。武田さんが重要性を強調するのは「自分の生活圏でも犯罪は発生するかもしれないという心構えを持つこと」だ。心構えがなければいざという時に体が動かない。「日頃から自分の身をどうやって守れるかを意識して」と訴える。例えば突然襲われるような事件では、「すぐ逃げる」ことが大事だという。危険を感じたら大人の指示がなくても、自分の判断で逃げる。不審者が見えなくなっても、助けてくれる大人がいる場所まで「逃げ切ることが大切」。そのためには、いつも使う通学路などを親子で一緒に歩いて、逃げ込める場所や身を守れる物がどこにあるかを確認しておくといいという。至近距離で襲われた場合、ランドセルなどの持ち物を盾にしたり、傘や近くの店ののぼり旗など「軽くて長いもの」を振り回して相手と距離を取ったりするのが有効だという。
ただ、武田さんは「子どもにだけ自衛を求めるのは本末転倒。大人による見守りは不可欠です」と強調する。人の目があることで、犯人が犯行を思いとどまるケースもある。「市民防犯の限界を感じさせる事件ではあるが、今までの取り組みが全く無駄なわけではない。子どもだけの環境をつくらない取り組みは、引き続き重要なのです」
 見守り幅広い年代で連携 地域 広島経済大(広島市)では、2005年に少学1年だった木下あいりさん(当時7)が下校途中に殺害された事件を契機に、06年から学生が自発的に近くの小学校での見守りを続けてきた。9人から始まった参加者は、いま38人。年間200日以上、昼休みに校門や構内に不審者がいないかなどを点検し、下校時には、事故の危険がありそうな場所に立つ。
リーダーの川口大輔さん(21)は、あいりさんの事件時、同じく小学1年生だった。強い衝撃を受けて「いつか守り手に」と思い、活動に参加してきた。川崎市の事件を受け、「地域の一員として、より一層見守りの網を広げないといけないのでは」と感じている。各地域で、過去の悲惨な事件をきっかけに住民やボランティアによる見守りなどが広がっている。ただ、ボランティアの高齢化や担い手不足など課題も出ている。川口さんらは今年、活動紹介とマニュアルを冊子にまとめ、学生や社会人に活動を呼びかけるという。「若い世代もできる。そのことを知ってもらい、仲間の団体が増えてほしい」 特に私立学校の場合は、通っている子どもと地域の人が顔見知りではないことが多い。日本こども安全教育総合研究所の宮田美恵子理事長は「私立学校と地域がつながる仕組みを整える必要があるのでは。それが一つの安全対策になり得る」と話す。「安全・安心なまちを子ども達へ」などの著書がある中村攻・千葉大名誉教授(地域計画学)が重視するのも、地域社会との結びつきだ。「監視カメラ任せにせず、地域力を高めることが大切だ。社会が責任をもって環境を安全にしていく必要がある」と話す。登下校時の時間に会わせて買い物や散歩に出るなど、地域に大人の目を増やすことを提案する。また、今回の事件についても犯行に至った経緯に目を向け、犯罪者を生まない社会にする策を考えるべきだという。「大人が安心して働いて暮らしていける社会が、子どもにとっても安全な社会です」と語る。(伊藤舞虹、山内深紗子、小林未来)

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