6月4日 参院選「4」

朝日新聞2019年5月30日夕刊9面:開票前に「当選確実」なぜ分かるの? 午後8時の投票締め切りと同時に、「当選確実」の報道が飛び交う。夏の参院選でもこうした光景は変わらない。報道各社はどのように「当確」を出すのか。投開票の当日、投票所が開くのは原則午前7時だ。地域の小学校など投票所として選ばれた数は、2016年参院選で全国約4万8千カ所。前回の参院選などで買い物ついでに投票できる「共通投票所」も登場した。当日投票できない人が事前に投票できる「期日前投票」の利便性も高まり、前回参院選では投票者全体の3割弱を占めた。公示日から続く選挙戦は、一部地域をのぞいて投票当日の午後8時に投票が締め切られる。投票箱は職員付き添いでタクシーなどで各地の投票所から開票所に運ばれ、選挙区、比例区の順で開票作業が進む。
大勢が判明するのは明け方ごろ。前回参院選で開票作業が一段落したのは翌朝で、翌日午後まで作業が続いた開票所も。開票作業は誰でも自由に見学できる。翌朝までもつれる開票作業だが、報道各社は投票締め切りと同時に「当確」を報じる。朝日新聞は、朝日デジタルで「当確」を速報するほか、テレビ朝日系列の選挙特番とも連動している。なぜ、そんなことが可能なのか。秘密は出口調査にある。投票所で投票を終えて出てきた人に、投票先、性別、年代、政策課題などについて報道各社が独自に質問する。朝日新聞では投開票日だけでなく、期日前投票期間中も実施。前回参院選では約3700の投票所で約18万人から回答を得た。
調査はタブレット端末を使い、回答と同時にデータを分析。過去の投票データや取材結果を加味して、候補者の当選可能性や政党の獲得議席を予測し、「当確」を報じているのだ。こうした選挙速報に批判的な声もある。国政選挙ではないが、過去にNHKの大河ドラマで「当確」の速報が表示され、抗議が寄せられた。だが、選挙結果の大勢を速やかに報じるのは報道機関の役割の一つ。特に新聞では締め切り時間の都合上、結果が確定するのを待つと、朝刊に選挙結果の大勢を盛り込めない。実は、出口地調査は、有権者の投票行動を分析するのにも役立つ。ここでクイズ。前回参院選の比例区で投票先として自民、公明両党を選んだ人が半数を超えたのは、何十代でしょう? 答えは10代と20代。朝日新聞の調査結果だが、どの年代がどんな投票傾向にあるかの分析は、国や地方自治体にもできない。
16年の米大統領選でも報道各社は出口調査による分析に力を入れた。白人の58%、大卒白人の67%がトランプ氏に投票したーなど、人種や学歴、所得など階層ごとの結果を報じ、選挙速報にも重点を置いた。出口調査を用いた分析や速報は、各国メディアに共通の課題だ。夏の参院選でも、自分が投じた一票の行方を見守りつつ、分析や速報に注目すれば、選挙報道はもっと面白くなるかもしれない。(菊池直己)

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