6月3日 参院選「3」

朝日新聞2019年5月29日夕刊7面:衆参ダブル選のうわさがあるけど? 6年前は衆参で第1党が異なる「ねじれ国会」の解消、3年前は「改憲勢力」の議席の規模が参院選の焦点だった。野党は細分化し、安倍晋三首相率いる自民党の「一強」となって久しい。この夏の参院選の注目点はどこだろうか。まずは「3分の2」。首相が悲願とする憲法改正の国会発議を可能にするには、衆議院と参議院の両方で賛同する議員が3分の2に達することが必要だ。そのハードルは高い。
2016年の前回参院選で、与党の自民(自民党会派に所属する無所属議員を含む)、公明党に加え、野党でも憲法改正の議論に積極的な日本維新の会などを合わせた「改憲勢力」が163議席に到達。3分の2(162議席)を上回り、衆参とも発議に必要な議席を確保した。ただ、今回の参院選で改選となる現職議員が前回当選した13年は、自民が政権に復帰した直後の勢いを駆って65議席を獲得。「小泉旋風」で圧勝した01年の64議席を上回る大勝だった。それだけに、議席の維持は容易ではなさそうだ。勝敗を左右するとみられるのが全国に32ある、当選者1人の「1人区」だ。16年は野党が事前に候補者を調整し、全選挙区で与野党が1対1のガチンコ勝負となる構図を作り出した。野党は11勝を挙げ、13年の2勝から大きく持ち直した。
ただその後、旧民進党が立憲民主党と国民民主党に分裂。絶対的な野党第1党が不在のなか、野党の候補者調整は難航している。その成否は選挙結果だけでなく、野党再編の成否をうらなうものにもなりそうだ。そんな中でくすぶり続けているのが、衆院選に合せて首相が衆院を解散する「衆参ダブル選」に打って出るのでは、との観測だ。原則として各県が一つの選挙区となる参院選と違い、衆院選は全国289もの小選挙区があり、野党の候補者調整はさらに難しくなる。与党に有利になるという計算から、自民には「野党の内輪もめが続くうちに」とばかりに期待する声が根強く、野党側は警戒感を強める。参院選なのに衆院が解散されるかどうかに永田町の注目が集まる皮肉な状況だ。昨年の党総裁選で3選した安倍首相は現在、党の規定で最後の任期に入っている。参院選の結果は、残り2年の首相の任期の行方を大きく左右する。苦杯をなめれば、選挙の強さを政権の推進力としてきた首相にとっては大きな打撃だ。「ポスト安倍」選びが加速し、任期満了を前に政権の求心力を失いかねない。逆に、ここで大勝に導けば、党内の一部にある総裁任期の再延長論が強まる可能性もある。
86年に衆参ダブル選に打って出た中曽根康弘首相は、大勝の功績として総裁任期を1年延長する特例が認められた。この例も、衆参ダブルの観測に結びつく。菅義偉官房長官は記者会見で「解散は首相の専権事項」と繰り返す。参院選は、首相にとって「最後の大型国政選挙」となるだろうか。(笹川翔平)

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