6月3日 プラごみ減 挑む太平洋島国 サモアなど8カ国・地域レジ袋禁止

朝日新聞2019年5月29日8面:カフェで竹ストロー紙製も プラスチックごみの削減に太平洋の島国が乗り出している。この地域の心配の種、地球温暖化につながる課題でもある。小さく、他地域から離れているという地理上弱点をの克服しようと知恵を絞っている。(アピア=小暮哲夫)
海に臨む街、サモアの首都アピア中心部にあるスーパー「ラッキーフードタウン」で、フィラ・ヤンドールさん(45)は、パンや惣菜と一緒にもう一つ、買い物をした。紙のレジ袋だ。1月30日から政府がプラスチックのレジ袋を全面禁止にしたのだ。紙袋は50セネ(約21円)だが、ヤンドールさんは「すばらしいこと。もっと早く禁止すべきだった」と歓迎している。ナタシャ・ケイルさん(45)は布の買い物袋を持ってきた。「子供たちの未来のために必要なことだと思う」。このスーパーでは再利用できる布のレジ袋を2~5タラ(1タラ=約42円)で売っているが、客の多くは買い物袋を持参している。カフェで南国のフルーツのスムージーを注文すると、グラスに刺されていたのは竹のストローだった。プラスチックのストローも禁止されているためだ。プラスチックのストローが50本タ6タラなのに対し、地元製の竹のストローは1本1タラ。それでも店は価格に転嫁していない。「すばらしいことだから。2.3カ月に1度は新品に取り換える予定です」と店のオーナーのアンドリュー・ペドラナさん(37)。サモア唯一のマクドナルドでは、紙のストローを使っている。天然資源・環境省のビスマルク・クローリー次官は「プラスチックごみは世界的な懸念材料だ。我が国にはリサイクルの能力がないから、解決法は禁止して管理することだ」と説明した。違反者には1万タラの罰金が科せられる。政府によると、人口20万人のこの国で、2006~11年に埋め立てられたごみのうち28%がプラスチックごみだった。首都のあるウポル島の処分場では、発泡スチロールの容器が目につく。サモアではスーパーの食品トレーのほか、飲食店からの持ち帰り用に使われる。政府はこれらも20年をめどに禁止することを検討している。
飲料缶・ボルト返せば「返金」 アピア本部がある太平洋地域環境計画事務局(SPREP、26カ国・地域が加盟)によると、同地域ではサモアのほかバヌアツなど8カ国・地域ではプラスチックのレジ袋を禁止。フィジー、トンガなど6カ国でも禁止を検討している。いずれも小さな島国。気候変動の影響を受けやすい点も同じだ。SPREPで廃棄物管理を担当するビッキー・ホール博士は「埋め立て地が海岸の近くにある国々もある。気候変動で海面が上昇すれば、プラスチックごみが海に流れ出してしまう」と心配する。そんな懸念もあってサモアは15年前に海岸沿いの処分場を高台に移した。だが、標高の低い珊瑚ででるツバルやキリバスのような国では、それも難しい。この地域で日本の国際協力機構(JICA)が00年から支援を続けている。当初は土壌汚染を起こさないよう処分場での適切な埋め立ての指導に力を入れた。太平洋の島国には小規模な医療廃棄物用を除いて焼却施設がない。小国の限られた予算で施設を維持するのは難しいからだ。大半のごみがそのまま埋め立てられてきた。近年、支援の重心はプラスチックごみ対策に移っている。禁止対象を広げても、ごみが全てなくなるわけではない。回収して海外のリサイクル業者に売ろうにも、量が少ないので売りにくい。そこでJICAは昨年、サモアの企業が太平洋地域で初めての「リサイクル協会」を設立するのを支援した。こんな協会を各国につくって連係すれば、「地域全体でスケールメリットを出し、海外の買い手と交渉できる」(支援プロジェクトの宮田伸昭チーフアドバイザー)と期待している。パラオやマーシャル諸島では、飲料容器の預かり金制度が導入されている。少額の預り金を缶やペットボトルの飲料の小売価格に上乗せして微収。消費者が缶やボルトを指定の場所に返却すれば預かり金が戻る。サモア政府も導入を検討している。

 

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