6月1日 参院選「1」

朝日新聞2019年5月27日夕刊9面:参議院と衆議院どう違うの? 参議院とは何だろう。それを象徴する光景を、私たちは昨年12月8日未明の参院本会議場で目にした。ヤジや怒号が飛び交うなか、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法の改正案が、自民、公明などの賛成多数で成立した。採決に至る参院の審議では与党の拙速な進め方への批判や法案への疑問が噴出したが、異論に耳を傾けたり法案を修正したりする「熟議」は見られなかった。もともと衆院に比べて影が薄い参院。議院内閣制の日本では、首相は国会議員の投票で選ばれるが、最終的には衆院の方針が優先される。法律や予算も憲法は衆院の優越を認める。
憲法は、国会に衆議院と参議院の二つを置くと定めるが、実は、連合国軍総司令部(GHQ)の憲法草案に参院はなかった。参院の前身に当たる貴族院をなくす方針に、日本側は反発。衆院とは別に議員を選び、慎重な審議を行うことで幅広い意見を政治に反映させる狙いから、当時の国会の意向を受けて参院は設けられた。出自の違いもあって参院には独自の仕組みがある。一つは議員の任期。参院は6年で衆院より2年長い。選挙制度も異なる。定数単位の選挙区(定数148)と全国単位の比例代表(同100)で、その半数を3年ごとに行われる参院選で選び直す。
前回2016年の参院選から、二つの県を一つの選挙区とする「合区」が導入された。きっかけは「一票の格差」。13年の参院選では、人口が多い選挙区と少ない選挙区の一票の重みが最大4.77倍に広がった。最高裁判所の「違憲状態」判決を受け、人口が少ない「鳥取と島根」「徳島と高知」を合区し、埼玉の定数を増やして格差を縮めた。比例代表の仕組みも複雑だ。有権者は政党名か候補者名を書いて投票する。候補者への投票は所属政党の票に換算される。得票数に応じて各党の獲得議席が決まり、各党の中で個人票が多い順に当選者が決まる。そこに今回から「特定枠」が加わった。各党が事前に当選させる候補者を決める仕組みで、合区で選挙区を失う議員の救済策として自民が導入を主導した。任期や選挙制度が違う参院だが、独自性が見えにくく「衆院のカーボンコピー」との批判は絶えない。1947年の初めての参院選では、100人を超す無所属議員が当選し「緑風会」をつくった。政党とは距離を置き、有権者らが集まって議員立法や法案修正をして存在感を示した。だが、自民、社会両党による「55年体制」下で、参院でも政党に所属する議員が増加。緑風会は発足から18年後に消滅し、参院でも党の決定に縛られる傾向が強まり、衆院と同一化が進んだ。衆参の多数派が異なる「ねじれ国会」を生じさせ、時の政権を揺るがしてきたのも参院だ。存在意義を問われ続ける中、7月21日投開票が有力視される参院選は、参院の役割を考え直す機会になる。(菅原雄太)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る