6月13日 参院「歳費法改正案」近く成立 抜け道数々◇公表義務なし

東京新聞2019年6月8日22面:自主返納実態は闇の中? 選挙対策の色濃く 定数6増+特定枠「国会のあり方議論せず」 参院議院が歳費を国庫に自主返納できるようにする「国会議員歳費法改正案」が近く成立する見込みだ。気になるのが「抜け道」の数々。実際に返すかは各議員の判断に委ねられているうえ、返納者名や返納額を公表する規定もない。提出した与党側は経費の削減を掲げているが、参院選を前にした「やっているフリ」感が見え隠れする。(榊原崇仁)歳費返納は公職選挙法が寄付行為に当たるとして禁じてきたが、今回の法案では例外的に認めるようにした。一人当たりの返納額は「月額7万7千円を目安とする」と記されている。背景にあるのは、昨年7月の公選法改正による参院の定数増。今夏の参院選から3議席増となる中、その分の総経費年間2億2500万円を、議員一人当たり月額7万7千円の返納で相殺する狙いだ。期間は、3年後の参院選で定数がさらに3増となることを踏まえ、3年間とされている。与党側は今年2月に歳費を一律削減する法案を提出したが、定数増などに反発する野党側が反対。国民民主党の提案を受け、自主返納案を出し直した。
5日の参院本会議場では、「衆参の差なく恒久的に歳費を削減するべきだ」(立憲民主党会派)、「誰かが返納しなければ国民負担になる」(日本維新の会)、「定数増に対する批判をかわす党利党略」(共産党)と反対が相次いだが、与党などの賛成で可決された。今国会中に衆院で可決、成立する見通しとなっている。ただこの法案には、引っかかる点がいくつもある。参院事務局によれば、そもそも返納を「自主的に行うことができる」という制度になっており、返すことが義務付けられているわけではない。返納する額も「目安」が示されているだけで、少なくとも構わないという。そのうえ、誰がどれだけ返納したか公表するルールは盛り込まれていない。自民党の岡田直樹参院幹事長代行は先月28日の記者会見で「どの議員がいくら返納したかを公開すべきではない。自主返納だから、それぞれの議員にプレッシャーがかかってもいけない」と述べている。政治評論家の小林吉弥氏は「返納しない議員がいても誰か分からず、問題視されなくなってしまう」とみる。その一方で「目安よりも多く返納する議員がいたら、得意になってPRするだろう。『無償で活動する潔い議員』という売名行為もまかり通りかねない」と指摘する。ちなみに、与党を組む公明党は今月6日中央幹事会で、参院議員全員が自主返納を実施することを確認している。
どうにも筋が通らない話だが、ここまで反発が強まりながら、与党があくまで推し進めようとしているのはなぜか。千葉商科大の田中信一郎准教授(政治学)は「夏の参院選に向けたアピール。議員の定数を増やして批判が噴出したため、『議員が増えても税金の無駄使いをしません』と打ち出したいのだろう」と語る。先に触れたように、「一票の格差」を解消する公選法改正で参院の定数は計6増となるが、定数を減らすのではなく、何と増やす方向へ走った。そのうえ、個人の得票数にかかわらず、各党が事前に定めた順位に従って当選者を決められる「特定枠」まで作った。合区で立候補できなくなった選挙区の自民党議員を救済する方策と言われ、批判の的となっている。田中氏は「自民は参院の根本的なあり方を議論せず、歳費についても小手先の対応に終始している」と述べ、こう続ける。「国会改革は国政の重要課題。こんな姿勢でいいのか、夏の参院選で有権者が問わなければいけない」

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