6月12日 パンの「乳化剤不使用」表示 不適切?

朝日新聞2019年6月7日27面:業界からも異論 市販されているパンの袋にある「乳化剤は使用しておりません」といった表示について、パン業界内外から不適切だとの声が上がり、政府も是非の検討に乗り出す。何が問題なのか。「乳化剤不使用」と表示された他社製品から、乳化剤と同じ成分が検出されたー。業界大手の山崎製パンが3月、こんな調査結果を公表し、「不適切な表示であり、直ちに取りやめるめきだ」と訴えた。パンの保水性を高めて長く柔らかさを保ったり、機械による生地の傷を減らしたりするため、同社は乳化剤を製パン工程で使っている。食品表示法に基づき、商品に食品添加物として表示している。
一方、乳化剤をそのまま添加する代わりに、卵黄油や酵素を使って乳化剤と同様の成分を製品中に生成する製法がある。同社が他3社の3製品を分析したところ、こうした代替技術を使っていると推測できるという。乳化剤を使った場合と品質面で大きな差はないとし、「表示義務を回避する加工方法を採っている」と指摘する。厚生労働所や消費者庁によると、卵黄油は「食品」扱い。酵素は食品添加物にあたるものの、最終的に商品に残らないかわずかに残っても影響がないため、表示をしている会社は、取材に「法にのっとっている」と説明。 国内外で「安全」 山崎パンは各社の製法に異議を唱えるつもりはないとしつつ、「乳化剤は国際的にも国内でも安全が認められている物質。『不使用』を強調する表示は、あたかも乳化剤が安全面や健康面で不安があるものと認識させる恐れがある」と主張する。「無添加・不使用」表示は、業界内で以前から議論されてきた。日本食品添加物協会は2018年1月に見解を発表。「食品添加物使用の意義、安全性に対する誤解を招く」などとして、表示の自粛を要請する好ましくない例の一つに「添加物と同一の成分があるいは同一機能の成分が含まれている場合」を挙げている。日本パン公正取引協議会も、「現状では明文化されたルールはないが、不適切強調表示をしないためのルール作りを検討している」とする。「誤解を広げる」 「不使用」表示をしている別の社は、「消費者ニーズを考慮し表記してきたが、誤解される恐れがあり、今後は同協議会の方針に準じ対応したい」と取材に答えた、消費者庁では今年4月、食品の添加物表示を見直すための検討会が始まった。「無添加・不使用」を強調する表示について、委員からは「同じ効果のある別のものが使われていると、表示の信頼性を損ねる」「使われていないことをわざわざ書く必要はない」などと見直しを求める意見が出ており、論点の一つになるとみられる。検討会の委員で、食品表示に詳しい消費生活コンサルタントの森田満樹さんによると、不使用表示をする側の多くは消費者の選択肢を増やすことを理由に挙げるという。添加物をとりたくない消費者のニーズに応えるとの趣旨だ。「消費者に寄り添う姿勢は分かるが、逆に誤解を広げることになる」と森田さんは指摘する。「表示を避けるための抜け道探しに歯止めをかけるためにも、無添加・不使用表示全体を見直すべきだ」(小林未来、野村杏実)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る