6月11日 製薬マネー医師にも 新薬講演料など272億円

東京新聞2019年6月5日1面:17年度コンサル・原稿料も 日本製薬工業協会(製薬協)に加盟する製薬会社71社が2017年度、医師に支払った講師謝金やコンサルタント料、原稿料が計272億円に上ったことが本紙の調べで分かった。各社は同年度、大学医学部や医療系の各学会に計288億円を寄付したことが明らかになったが、医師個人にも巨額の「製薬マネー」が流れ込んでいることが浮き彫りになった。各社がホームページで公開しているデータを本紙が集計した。内訳は講師謝金が231億円と全体の85%を占めた。新薬開発などのコンサルタント料は30億円、製薬会社が発行する冊子などの原稿執筆料・監修料は11億円だった。金額が最も多かったのは第一三共で25億4900万円。他に大塚製薬(13億6300万円)や武田製薬工業(12億9500万円)など、7社が10億円を超えた。このほか医師への飲食接待や慶弔費などが計46億円あった。講師謝金は製薬会社が新薬の発売などに当たり、勤務医や開業医らに効能や副作用を知ってもらうために行う講演会の講師料。全国各地のホテルなどで開いたり、インターネットで病院とつないだりして行う。講師は大学医学部の教授らが努め、数十分から1時間ほどの公演で謝金は5万~20万円程度。1件10万円で計算すると、17年度はのべ23万1千人の医師に支払われたことになる。医師の中には年間数十件の講演を行い、謝金が1千万円以上に上るケースもある。大手製薬会社ではネット講演会を含め、週末も使って年に7千回程度開催するところもある。
ホテルの講演会は50~1000人規模で開かれ、参加する医師らの交通・宿泊費も一般的に製薬会社が負担する。終了後は立食形式の情報交換会を開き、会場費を含め1人2万円を上限に飲食を提供する。また、製薬会社の営業担当者(MR)が大学病院で薬の説明会を行う際、1人3千円を上限に医師らに弁当や菓子を出すことが多い。講師謝金を除いた講演会や説明会の開催にかかる経費(情報提供関連費)は17年度、計1261億円に上った。謝金を含め、薬の講演会や説明会に1500億円以上の制約マネーが使われたことになる。薬の採用や処方を巡る汚職事件などを受け、製薬業界は12年度に自主ルールを策定。ゴルフ接待を禁止し、飲食接待は1人5千円までとした。講演会の飲食費や説明会の弁当代にも上限を設けている。
同日25面:費用丸抱え医師に接近 交通・宿泊費も負担「新薬売り込むため」 製薬界 講演・説明会に年1500億円 製薬会社が薬の普及や正しい処方を広めるために開く講演会や説明会に、総額1500億円を超す「製薬マネー」が注ぎ込まれていた。講師を務める医師への謝金などで272億円をはじめ、参加者全員の交・宿泊費や飲食費、病院に届ける高価な弁当ー。費用を丸抱えする方式に「薬の処方に影響するのでは」と危惧する医師もいる。
東京都内の有名ホテルのホールに、全国から集まった数百人の医師。壇上で新薬の臨床研究に携わった大学教授らが「この薬には、こうした特徴があります」と薬の効能や副作用を説明する。講演が終わると、立食形式の情報交換会へ。医師は料理や酒を味わい、製薬会社の幹部やMR(営業担当者)があいさつに回るー。製薬会社の社員は講演会の一般的な様子をそう説明する。大学教授暮らすの講師謝金は10万~20万円。参加者の交通・宿泊費や飲食費も製薬会社持ちだ。
「宿泊も可能な限り同じホテルにするので、1人3万円程度。500人ほどの講演会で、経費は2000万~3000万円かかると思う」最近はインターネット上の講演会が増えているものの、会場形式はまだまだ多い。講師謝金を除く経費が年間100億円を超える社もある。元をたどれば、患者が支払った薬代や私たちの税金、保険料だ。別の製薬会社の社員は「忙しい先生に来てもらい、薬の副作用などの必要な情報を周知するため」と話すが、先の社員は「新薬の売り込みのためだ」と話す。「高血圧や糖尿病など生活習慣病の薬は各社が発売し、効能にもあまり差がないので、MRとどれだけ顔を合わせたかで差が出る。飲食まで残ってもらえば、医師との距離が近くなるチャンスになる」 新薬は8年程度は独占的に販売できるが、その後は半値程度の後発薬(ジェネリック)の発売が認められている。製薬会社にとって、それまでにいかに新薬を売るかが収益を左右する。神奈川県内のある病院長は「同じような薬なら研究の支援をしてくれたり、処方の面で相談に乗ってくれる企業の薬を使ってあげようと思う」と話す。医師5年目の山本佳奈さん(30)は福島県内の病院に勤務当時、一度だけ講演会に行き、その後は参加していない。「ただで食事やお酒が出るし、製薬会社の人に丁寧にあいさつされるので若い医師が勘違いしてしまう。毎回行くと、自然とその製薬会社の薬を選ぼうという意識になってしまう。患者本位とはいえない」
「安全情報周知へ不可欠」口ろそえるメーカー側 薬の講演会について製薬会社側は「効能や副作用といった安全情報を伝え、薬の適正使用に不可欠だ」と口をそろえる。「メーカー主催の講演会でも、宣伝色を出しすぎると続かない」。日本製薬工業協会の田中徳雄常務理事はそう話す。薬のPRばかりする講演会では医師が集まらないという。医療医薬製品販売公正取引協議会の寺川祐一専務理事は「かつては東京・銀座のクラブやゴルフといった高級接待が行われていたようだが、今は単なる娯楽といった接待は行われていない」と説明する。2016年度に約6900回の講演会を開いた武田製薬工業は「(飲食の提供に)自社医薬品の処方誘引や他剤との差別化につなげる意図はない」と強調。大塚製薬は「適切な情報提供のため、新薬品が多い時期は講演会の回数が多くなる傾向がある」と話す。過去には、新薬の講演会が開かれなかったことによるデメリットもあった。東日本大震災直後に発売された抗凝固剤を巡って、震災で学会や製薬会社が講演会を自粛。一般の医師に処方してはいけない患者の情報が伝わらず、抗凝固剤の投与が原因と疑われる出血性の合併症の死者が出たことがあった。

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