6月11日 仮想通貨100億円申告漏れ

朝日新聞2019年6月5日1面:50人と30社 国税局指摘 仮想通貨(暗号資産)の取引にからみ、今年3月までの数年間に全国で少なくとも50人と30社が総額約100億円の申告漏れを国税当局から指摘されたことがわかった。2017年末に主要通貨「ビットコイン」の相場が年初の約20倍に高騰しており、このころに多額の売却益を得たのに税務申告しなかったり、実際よりも少なく申告したりしたケースが相次いだとみられる。31面=税逃れ横行
70億円以上は「所得隠し」 関係者によると、東京国税局の電子商取引を担当する調査部門が昨年、都内の複数の仮想通貨交換業者(取引所)から顧客らの取引データの任意提出を受けた。同部門はデータを分析し、多額の売却益を上げたと見込まれる個人や法人をリストアップ。札幌から熊本まで全11国税局と沖縄国税事務所が、この取引データや独自に集めた情報に基づき税務調査し、個人・法人を合わせて少なくとも80件、総額約100億円の申告漏れを指摘した模様だ。このうち70億円以上は、親族や知人名義の口座で取引したり、実際の取引記録を残しているのに故意に売却益を少なく見せかけたりしたとして、重加算税対象の「所得隠し」と判断された。高額・悪質なものについては脱税容疑での告発も検討しているとみられる。一般社団法人「日本仮想通貨交換業協会」(東京)によると、主要5通貨が売買された総額は17年度は69兆1465億円で、16年度の20倍、15年度の788倍に急増。取引による利益は所得税法上の「雑所得」になり、一般的なサラリーマンの場合、年間20万円を超えると確定申告が必要になる。ただ、取引の実態が見えにくいことから税務申告しないケースが多数あるとみられていた。こうした「税逃れ」を防ぐため、取引額など一定の条件にあてはまる顧客らの氏名を民間業者に国税側が照会できる制度が来年1月から始まる。顧客らの申告漏れ割合が高いことが見込まれるにもかかわらず、事業者が照会に応じない場合などは罰則もある。無登録の仮想通貨交換業者など、税務調査に非協力的な業者などが念頭にある。ただ、この制度は国内の事業者のみが対象となるため、海外の交換業者を使った取引や、所有者の特定がほぼ不可能な匿名性の高い仮想通貨に換えることを勧める業者もいるという。国税幹部は「いたちごっこは当分続きだろう」と話す。(花野雄太)
同日31面:仮想通貨 税逃れ横行 無登録で売買記録は残さず「コンサル料」送金裏金還流 仮想通貨(暗号資産)の取引をめぐり、全国で総額約100億円の申告漏れが指摘された。「ビットコイン」の誕生から10年。仮想通貨は新しい決済手段として脚光を浴びる一方、「投機」の対象としても注目を集めてきた。税逃れが横行する実態が浮かび上がり、資金洗浄(マネーロンダリング)への悪用も懸念されている。▽1面参照
関係者によると、仮想通貨の換金(売却)を代行していた都内の会社は、2018年5月までの1年間に約2億円の所得隠しを指摘された。同社は資金決済法で義務づけられた国への登録をせず、ブローカーやSNSなどから換金依頼を集約。換金額の数%の手数料を受け取っていた。この会社の男性社長は、取材に「登録業者で普通に売買すると取引記録が残ってしまうので、手数料を払ってでも税金をごまかそうとした人が多かった」と語る。税務調査を機に仮想通貨ビジネスから手を引いたという。仮想通貨は法定通貨と違い、国の経済や中央銀行の裏打ちがないためレートが安定しない。投機目的とみられる資金も流入するなかで、わずかな手元で巨利を得る人も続出。資産を1億円以上増やした人は「億り人」とも呼ばれる。都内の会社経営者はビットコインに早くから注目し、約200万円を投じた。相場の高騰で含み益が10数億円に膨らみ、約4千万円分を換金して自宅を購入。昨年、税務調査を受けて換金分の申告漏れを指摘されたが、含み益には課税されないため、再び一部を換金するなどしてすぐ納税を済ませたという。
仮想通貨の周辺ビジネスにもメスが入った。仮想通貨の売買に関するノウハウ情報をインターネット上で販売する40代男性は、17年までの5年間に約3億3千万円の申告漏れを指摘された。男性は新たな仮想通貨「NAGEZENI」の発行も手がけて投資を募っていたほか、既存の仮想通貨の売買でも利益を得ていたが、税務申告を一切していなかったという。税逃れをにおわせつつ、「節税」をうたう業者もいる。関係者によると、たとえば会社経営者から1千万円分の仮想通貨を送金させ、「コンサルティング料」などの名目で同額の請求書を発行。業者は手数料を引いて現金800万円を裏金で戻す。会社経営者は仮想通貨を現金化したうえで会社の経費にし、利益を圧縮して法人税を少なくできるーといった仕組みだ。国税OB税理士はこうした取引について「支払った『コンサル料』の実態がなければ所得隠しになる」と語る。新種の仮想通貨の上場支援などに携わる横浜市の会社社長は「1千億円超の含み益がある知人が数人いるが、みんな海外に移住した」と話す。仮想通貨の取引益は雑所得に分類され、所得税と住民税を合わせた税率は最高55%。株式の譲渡益への課税(同20%)と比べて大幅に高い。「申告すると半分以上が税金で持って行かれる。まるで江戸時代の年貢。払う気がなくなる」
多い投機目的 不正調査を 仮想通貨の根幹である「ブロックチェーン」技術は、多くの人がネット上で取引データを監視できる仕組みだ。国境を越えて瞬時に決済できる利点もある。大手銀行も実用化方針を決めており、この技術自体は否定されるものではない。ただ、投機目的で売買している人が多いのも実情だ。実態のない「仮想」通貨で金集めをする業者や、発行者がうその情報を拡散させて値をつり上げ、売り抜けているといった話も絶えない。交換業者からの不正流出も国内外で相次ぐ。警視庁の2月のまとめによると、マネーロンダリングに悪用された疑いがあるとして交換業者が届け出た取引は、昨年だけで約7千件。さらに悪質な税逃れの温床になっているとすれば、適正に申告している人の不公平感は募る。社会の目線が厳しくなれば基盤技術の発展にも影響しかねない。国税当局は海外の当局とも連携するなどし、調査に力を入れる必要がある。(花野雄太)

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