6月10日 PTA人気組織に変われた

朝日新聞2019年6月9日27面:神戸の市立中学 軌跡が本に 約60人の役員全員が立候補で埋まる。そんな人気組織に生まれ変わったPTAが神戸市にある。無駄な役割をそぎおとし、子どもの活動はむしろ手厚くー。改革に取り組んだ元会長と当時の校長が、その軌跡を本にまとめた。「PTA不要論」とは異なる改革の方向性を示している。神戸市垂水区にある市立本多聞中学校。PTAの役員決めが重苦しい雰囲気になるのは、かつての本多聞中も同じだった。誰も手を挙げず、くじで役が当たると辞退のためのプライベートな家庭の事情を告白する。そんな光景が毎年繰り返された。「みんなが嫌がるのは意味を感じない仕事が多いからでは」。5年前から、PTAの副会長や会長として改革を主導してきた今関明子さん(50)は、役員仲間とそう話し合った。最初に取り組んだのは保護者を対象にしたアンケートだ。「あなたがPTA役員に選出されたとして、必要だと思う活動に〇を、必要だと感じないものに×をつけてください」という設問の後、「昼間のパトロール」「体育会の受付」「広報誌」「研修」など15の活動項目を並べた。
委員会廃止 行事参加は都号のいい年2回だけ 予想通り、大半に「×」がついて返ってきた。そこで「広報」「研修」「愛護」の各委員会を廃止した。「改革が必要」との総意が「見る化」され、それが推進力になったという。行事の受付やあいさつ運動などは、役員1人あたり年2回だけ、本人の都合のいい日に参加してもらう方式に改めた。一方で、保護者同士のつながりはなくしてはいけないと考えていた。教師と保護者がトラブルになったとき、誤解や言葉の行き違いでこじれるのを何度も見てきたからだ。保護者のネットワークがあれば、他の親に相談することで自分の意見を客観視できるし、直接学校に言いずらい悩みも親同士なら打ち明けられると思った。 筋書きなき意見交換 保護者にも学校にもプラス 当時の校長だった福本靖さん(57)=現・同市立桃山台中校長=もPTA改革に期待を寄せていた。学力向上も生徒指導も、保護者の理解、協力なしには進まないと考えていたからだ。2人の思いが一致し、PTAを「保護者が学校運営に積極参加するための組織」に作り替えることにした。それまで本部役員十数人だけが出ていた月1回の「PTA運営委員会」を各クラスに3人ほどいるクラス委員にも開放。そこに校長が毎回出席し、筋書なしの意見交換の場にした。「図書室の開室日を増やして」「教室に加湿器を」「手持ちのカバンは重いのでリュックも認めて」・・。議題は様々だ。実現することも、しないこともある。ただ、今関さんは「無機質に見ていた学校がみるみる変化し、息遣いが聞こえる相談相手に変化したように感じた」という。福本さんも「学校への信頼が高まり、苦情が大幅に減った。PTA改革は『教員の多忙化対策』と『生徒、保護者への丁寧な対応』を同時に求められて苦悩する学校にとって、唯一の解決策なのではないか」と言う。PTAのあり方が問われているなか、本多聞中の取り組みは評判を呼び、他校から問い合わせが相次ぐようになった。「本多聞式」にならい、改革に着手したPTAもある。「参考になれば」と、今関さんらはこれまでの経緯を本にまとめることにした。2人とも「PTA改革は難しくない」と言う。今関さんは「子どものためかどうか、という原点に立って考えればいい。あとは校長の理解と共感してくれる仲間、それに勢いさえあれば」。書名は「PTAのトリセツ」(世論社)。151㌻、税別1千円。ネット通販のアマゾンなどで購入できる。(西見誠一)

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