6日てんでんこ 福島に住む6

朝日新聞2017年4月4日3面:医師確保のためフェイスブックで呼びかけた。手を挙げてくれる医師がいた。
東京電力福島第一原発がある福島県双葉郡で、原発事故後に避難しなった民間病院がある。約100人の入院患者を診るためだ。震災時は、千葉県に勤めていた外科医、尾崎彰彦(32)が、勉強会でその話を知ったのは昨年9月だった。現在勤めている私立病院がある南相馬市は双葉郡の北隣にある。民間病院の院長は80代で、いまも現役だと知り、さらに驚いた。
尾崎がその高野病院(双葉郡広野町)の院長、高野英男と初めて対面できたのは、昨年の大みそかだ。
だがそれは、自宅の火災でなくなった高野の遺体を、医師として確認するためだった。非番で自宅にいた尾崎に声がかかった。避難指示区域が残る病院はここしかない。病院の唯一の常勤医が院長だった。尾崎はすぐに動いた。私立病院の同僚ら4人でフェイスブックを使って全国の医師に呼びかけた。
「このままでは、入院患者さんはもちろんですが、外来に来られていた患者さんや周辺の住民の皆様の命が危ぶまれることになりかねません。ボランティア医師として外来や当直業務をご協力いただけないでしょうか」
それを見た都立病院の非常勤医師が「春まで常勤できる」と手を挙げてくれた。尾崎が医師をめざしたのは、建築士の父親から「手に職をもった方がいい」と勧められたからだ。生まれ育った福岡県宗像市で専門職の仕事として思いついたのが医師だった。
それがいま、病院がある町の町長と一緒に国や県に支援を求める活動までしている。通った東京大学医学部ではアメフト部だった。南相馬市では近くの牛丼チェーンやコンビニ弁当で食事を済ませ、病院とアパートを行き来する毎日だが苦にはならない。
乳がんを専門に診る尾崎は4月から、日本のがん治療を牽引してきた「がん研有明病院」(東京都江東区)で学ぶため、いったん南相馬市を離れる。半年後に戻る予定だ。「福島の問題は、10年やそこらで解決はしない」
尾崎にとっての「地元」はもう福島だ。 (奥村輝)

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