6日 耐震補強してありますか

朝日新聞2017年3月3日16面:社説 坪井ゆづる 「昨年4月14日の熊本地震の前震はマグネチュード6.5.16日の本震は7.3で阪神・淡路大震災と同じ」「日本全体で見れば前震並みは月に1回、本震規模も年1回程度は起きている」熊本市で2月にあった21世紀文明シンポジウム「減災と創造的復興~熊本地震の経験と教訓を踏まえて」(朝日新聞社など主催)で、地震列島の怖さを改めて実感した。
講演と討論で、東大地震研究所の平田直教授と熊本大の松田泰治教授が期せずして、同じ棒グラフを提示した。熊本県益城町にあった木造の建物1955棟の被害状況を調べた結果だった。判定は「倒壊・崩壊」「大破」「軽微・小破・中破」「無被害」の4段階。
耐震基準が徐々に厳格化されてきた経緯に沿って、①旧耐震(1981年5月以前) ②「新耐震」(81年6月~2000年5月) ③「新々耐震」(00年6月以降)の3本のグラフにした。違いは歴然だった。
「倒壊・崩壊」「大破」の合計が①は5割近い。それが②では約18%、③は6%ほどだ。耐震補強の効果の大きさがわかる。だが、そのペースは遅い。47都道府県がされぞれ15年度末までの住宅の耐震化率の目標を掲げていたが、昨年末の朝日新聞の調査に、ほとんどが「達成困難」と答えた。
文部科学省の昨年4月時点での調べでは、公立学校の校舎や体育館の耐震化は同年3月末までの100%達成の目標は果たせず、なお3千棟以上が未対策で残っていた。
耐震改修工事はお金がかかる。増え続ける高齢・単身世帯では、危険と背中合わせでも構わないと考えがちな事情もある。「必要性を実感できない」という理由も多い。いずれ大地震は起きる。でも今日、明日じゃないよ。なんの根拠もないけれど、自分は巻き込まれない気がする。こう思う人が多いのだろう。私もそのひとりだ。
だが、そんな思いはシンポジウムで見た、1枚の写真で凍りついた。益城町が避難所に予定していた総合体育館。重さ10キロの天井板1千枚が本震で崩落し、アリーナの床を埋め尽くしていた。そこに避難者がいれば大惨事になっていた。
「3・11」東日本大震災から6年になる。大地震への備えは多岐にわたるが、とくに公共施設の耐震補強は最優先だ。言葉ではなく、実行あるのみ。(政治社説担当)

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