5月9日 カジノと再開発「上」

朝日新聞2019年5月8日7面:「街が死ぬ」横浜のドンが反旗 4月中旬、横浜市中区の山下埠頭では大型の重機がうなりを上げていた。港湾荷役業者らの倉庫や事務所があった場所の一部で解体作業が進んだ。再開発に向けて市と業者の移転交渉が行われている。ここは、カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致の有力な候補地だ。総面積47㌶(東京ドーム10個分)。東京都心や羽田空港へのアクセスも良いこの地区を横浜市は再開発して、みなとみらい地区につならる新たな観光拠点「ハーバーリゾート」をつくる構想がある。そのプランには「人々が楽しみ滞在するリゾート空間」などの言葉が盛り込まれた。
IR誘致の機運に「カジノ反対」の旗を掲げた団体がある。港湾事業者の多くが加盟する横浜港運協会だ。「反対」の背後には協会トップの強い意向があった。2月、横浜市中区にあるビルの上階を記者が訪ねた。「やあ、どうも」と言いながら、藤木企業株式会社の藤木幸夫会長(88)が現れた。横浜港運協会の会長も務め、有力政治家や市の幹部、財界人らと太いパイプがある。「ハマのドン」の異名を持つ。「最大の理由はギャンブル依存症だよ」藤木氏はカジノ反対の理由を語った。「(カジノは)人に迷惑をかけている。海外では依存症で家庭が崩壊しているどころか、街が死んでいる。外国の金融マフィアといってもいい人たち(カジノ業者)が、荒稼ぎしてお金を持って帰っちゃう。影響を受けるのは横浜に住む一般家庭だ」 藤木氏自身、ギャンブル依存症の当事者や専門家から話を聞いた。児童養護施設にも足を運んだ。そこには親の家庭内暴力(DV)から逃れて暮らす子どもたちがいる。親のギャンブル依存症がDVの一因とみられるケースも少なくない。藤木企業は、大正時代から港湾荷役業を手がけてきた。藤木氏の著書「ミナトのせがれ」(神奈川新聞社刊)には、港湾労働者と賭博の関係に触れた記述がある。藤木氏の父親で、藤木企業の創業者である藤木幸太郎(故人)がかって、港湾労働者を相手に賭場を持ち、ばくちがらみで懲役刑を受けたことがるという。そのことについて藤木氏は「当時はテレビのような娯楽はなく、港湾労働者の楽しみは茶わんとサイコロだった」と話した。著書にはこうある。「親父が賭場を持ったのは自分がバクチをするためでもなく、『てら銭』を稼ぎたかったでもなく、沖人夫(港湾労働者)をヤクザの賭場に出入りさせないための方便だった。場所を提供して遊ばせるだけで、決して『てら銭』を取らなかった」「ドンの反旗」は地元に衝撃を与えた。

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