6月6日 参院選「5」

朝日新聞2019年5月31日夕刊9面:参院選のトリビア何があるのかな? 参議院の議長にはあって、衆議院の議長にないものは。「ある人」しか座れない特別な椅子や、「鳴らずの鈴」とは。参院には、誰かに話したくなる「豆知識」があふれている。5月17日、参院本会議の冒頭。伊達忠一議長が、机の木槌を「ドン、ドン」と2度たたく音が議場に鳴り響いた。参院の本会議冒頭では恒例のしきたりだ。「ギャベル」と呼ばれるこの木槌は、衆院議長席にはない。参院の議員団が1950年に米国の上院を視察した際、土産で持ち帰ったという。本会議場には他にも参院だけの特徴がある。議長席の真後ろの一段高い場所には、えんじ色の布地に金色の装飾が施された椅子がある。国会の開会式に出席するために参院を訪れる天皇陛下だけが座れる椅子だ。
会期ごとに行われる開会式には、「貴族院」だった名残から必ず参院の本会議場で開かれる。天皇陛下が「おことば」を述べ、衆院議員もその時だけは参院に集まる。即位した天皇陛下が初めて登場するのは、例年秋に開かれる臨時国会か、衆院が解散れれば選挙後の特別国会となりそうだ。各議員が座る議席にある「押しボタン」も参院の特徴の一つ。法案の採決などの際、参院ではボタンを押して賛成か反対を投票する。議院個人の投票行動を明らかにして、政治責任を明確化することなどを目的に98年に導入された。押しボタンをめぐっては2010年に事件が起きた。自民党の若林正俊・元農林水産相が、離席していた隣の青木幹雄・元自民党参議院会長のボタンを代わりに押し、若林氏は議員辞職に追い込まれた。さらに「鈴」をめぐっては、参院の規則には「議長が振鈴を鳴らしたときは、何人も沈黙しなければならない」とある。議場の混乱を収めるためだが、貴族院時代から一度も鳴らされたことはない。衆院規則では同じような鈴を「号鈴」と呼ぶが、参院の広報課もよく分からないという。議論のルールも衆参で違いがある。テレビ中継される予算員会。各議員に配分される持ち時間の計測法が大きく異なる。
衆院は、首相ら政府側の答弁時間も各議員の持ち時間に含める。追及を避けたい政府側が長く答弁すれば、その分、議員の質問時間を短くすることができる。一方の参院では答弁時間は含まれない。政府側の答弁中は時間が止まり、いくら答弁を引き延ばしても質問時間は短くならない。衆参両院は建物こそ左右対称だが、まだまだ違いがある。委員会を開く場所は、衆院は「委員室」だが参院は「委員会室」。衆参の議員会館は内装が微妙に異なり、喫茶店「タリーズ」は衆院側は客席がガラスで囲まれているが、参院は解放された空間にある。こうした規則や慣習の違いがあるのは、それぞれの院が独立しているからこど。参院をもっと知れば、今夏の参院選がより身近になり、見方が変わるかもしれない。 =おわり(田嶋慶彦)

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