5月29日 増える希望退職募集

朝日新聞2019年5月25日6面:好業績でも将来見据え 昨年上回り年1万人超す勢い 国内で定年前の希望退職を募る上場企業が、また増え始めた。社員を減らして人件費を抑えるねらいがあるが、好業績の企業でも将来を見据えて踏み切るケースが出ているのが特徴だ。東京商工リサーチの調べでは、今年の実施を公表した企業は13日までで16社あり、昨年1年間の12社をすでに上回った。募集者数(募集者煤未定の企業は応募者数)の合計をみても6697人と、4126人だった昨年をすでに上回り、年間では1万人を超える可能性が髙い。1万人超となれば、前年の円高を背景に製造業での募集が目立った2013年以来となる。
今年、応募者数が最も多いのは富士通の2850人で、コカ・コーラボトラーズジャパンの950人、東芝の823人と続く。3社とも直近の通期決算では、本業のもうけを示す営業利益を前年から大きく減らした。だが、約700人と4番目に多いアステラス製薬は、営業利益が1割以上も伸びていた。172人が応募した中外製薬も、過去最高の売上高と営業利益を計上しながら、政府の医療費抑制などで「事業環境が厳しさを増している」(広報)として募集に踏み切った。
退職金を上乗せした希望退職の募集は、大企業を中心に00年代から不況期に繰り返されてきた。「ITバブル」がはじけた後の02年は200社が計約4万人を募集。リーマン・ショック後の09年には191社が計2万3千人を募り、希望しない社員にも応募を勧めて退職を促す例も目立った。東京商工リサーチの関雅史・経済研究室課長は「経営環境の変化のスピードが速まるなか、成長分野に集中するため、景気や自社の業績がよいうちにリストラを進めようとする経営者が増えてきた」と指摘する。経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は今年1月の講演後の質疑応答で「従業員がやる気の出る報酬体系をつくるのが、日本の活力化には大事。ローパフォーマンスというか、やる気のない人には早期に会社を去ってもらうほうが、その人にとってもよいはずだ」と述べた。今月の記者会見でも「だめになりそうな事業を雇用の維持のために残すことは、雇用されている人にとって一番不幸だ」と語っている。
ただ、希望退職のターゲットになりやすいのは、賃金が髙めの中高年だ。今年に入って募集した16社でも、10社が応募の条件を「45歳以上」としている。この世代は、子どもの教育費などで家計の苦しさが増すことも多い半面、職種を変えるのは難しく、再就職には苦労しがちだ。大手メーカーに勤める50代男性は、上司に希望退職を促され、転職サイトに登録した。だが、届く求人は年齢制限で応募できないものばかり。人手不足で転職には追い風だと言われるが、「求められているのは若い人だけだ」と肩を落とす。(内藤尚志)

 

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