5月27日 池上彰の新聞ななめ読み

朝日新聞5月27日17面:五輪招致のコンサル料 2.3億円の使途 追及に期待
五輪招致を巡って巨額の金が動く。これまでたびたび指摘されてきたことです。IOC(国際オリンピック委員会)委員に対する過剰接待も問題になりました。
長野の場合は、招致のためにどのような資金の使われ方をしたのか、後になって検証しようとしたところ、証拠書類がすべて廃棄されていて、責任の所在が曖昧になってしまいました。今回はそうなってはなりません。新聞各社が深刻な問題として追及を始めていることに期待します。
5月24日付の朝日新聞朝刊に、疑惑の図解が掲載されています。東京都民の税金約35億円と東京五輪・パラリンピック招致委員会が寄付金や協賛金などとして集めた約54億円の計89億円が招致活動費として計上されています。
このうち約2億3千万円が、シンガポールのコンサルタント会社「ブラック・タイディングズ社」(BT社)に支払われました。支払いは2回に分けて行われています。1回目は2013年7月29日で、約9500万円。9月7日にIOC総会で東京への招致が決まると、10月24日に約1億3500万円が支払われ

2016/ 5/27 14:44

2016/ 5/27 14:44

ています。状況から見て、10月の支払いは、いわゆる成功報酬でしょうか。
<BT社の経営者タン・トンハン氏(33)は、古参の国際オリンピック委員会(IOC)委員で国際陸上競技連盟会長のラミン・ディアク氏の息子、パパマッサタ・ディアク氏と関係が深いとされ、招致委がBT社に支払った2億3千万円が集票目的でディアク氏側に渡った疑惑が浮上している>
シンガポールのBT社とは、どんな会社なのか。5月23日付読売新聞朝刊は、<シンガポールの都心に近い古い公営住宅の一室に事務所を登録>していたことを確認して、様子をルポしています。<20日に訪れ、ドアをノックしたが応答はなく、夜も電気はつかなかった。ドアの前にはサンダルが並び、空の段ボールやペットボトルが放置されていた>そうです。同じ棟に住む男性にインタビューして、「ここは大金をもらった人が暮らす場所ではない」というコメントを引き出しています。
でもIOCはNGO(非政府組織)です。国連の組織でもなく、どこかの政府組織でもありません。IOC委員に資金が渡っていても、モラルの問題はあるにしろ、犯罪になるのか。朝日の前掲記事は、それについて解説していました。フランスの検察が捜査しているのです。フランスの検察は、国際陸連のドーピング隠しに絡む捜査の一環で、日本からの資金の流れを把握しました。
<仏刑法では日本とは異なり、公務員でなくても、違法行為などの謝礼として金銭などのやりとりがあれば汚職の対象となる。また、国際機関や海外の公的業務にかかわる人を処罰対象とする規定もある>
つまり、民間人であるIOC委員でも、汚職の対象になりうるというのです。
<フランスも含む欧州連合(EU)と日本の間には「刑事共助協定」がある。仏側の要請があれば、日本の検事が事情聴取したり、ビデオ会議システムによる仏側の聴取に日本側が協力したりすることもある>
何が問題なのか、わかりやすい解説です。こうなると、日本も、BT社に送った金がどう使われようと、知ったことではないなどと答えているわけにはいきません。
日本の招致委員会は、なでBT社に巨額の金を送ったのか。<BT社の売り込みを受けた招致委は、大手広告会社の電通に実績を問い合わせたうえで契約したと説明している>
こうなると、電通の説明責任が発生します。この点について取り上げているのが、5月23日付毎日新聞のコラム「風知草」です。
<コンサルタントに高額報酬を払う五輪開催都市は東京だけではない。それが何に使われたか、表舞台の公職者は知るまい。知っているのは「電通」の、限られた関係者だけだ> さて、電通は何と答えるのか。

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