5月26日 自民の失言「マニュアル」で防げるか

朝日新聞2019年5月22日33面:全国会議員に配布 所属議員の失言が止まらない自民党が、「失言防止マニュアル」を議員に配った。夏には衆参同日選の憶測もあるなか、改めて引き締めを狙っているようだ。政治家の言葉は変わるのか。自民党のすべての国会議員や党職員らに10日に配られた文章のタイトルは「『失言』や『誤解』を防ぐには」。党遊説局がまとめたA4サイズ1枚の紙で、隅には「配布厳禁・内部資料」とある。最初に挙げた注意点は、「発言は『切り取られる』ことを意識する」。テレビの放送時間や新聞記事の文字数には限りがあるため、政治家の発言を丸ごと発信することはほぼないとする。
その上で、表現が強くなって失言を招きやすい「パターン」として、①歴史認識、政治信条 ②ジェンダー(性差)・LGBT ③事故や災害 ④病気や老い ⑤身内と話すような、ウケも狙える談話口調ーを示した。防止策としては、「切り取り」のリスクを減らすため、短い文書を重ねる話し方を勧める。周囲の喝采や同調に引きずられず、身内や会合や宴席で盛り上がるようなテーマに注意。「弱者」や「被害者」がいる際は表現に「ブレーキ」を、と呼びかけた。
「必要」「あきれる」 党内では過去にも失言騒動があったが、あるベテラン議員は「失言を防ぐために党からマニュアルが配られたのは初めてだろう」と話す。「派閥の教育機能が落ちているから必要」という声がある一方で、党幹部の一人は「『俺たちバカです』って言っているようなもんだ。あきれて物が言えない」。ほかの主要7政党は童謡のマニュアルを作成していない。背景には相次ぐ失言がある。4月には桜田義孝前五輪相が同僚議員の政治資金パーティーで、「復興以上に大事ななのが議員だ」と議員名を挙げてあいさつした。塚田一郎前国土交通副大臣も道路整備をめぐって、首相らの意向を「忖度しました」と発言。いずれも辞任した。マニュアルで失言は食い止められるのか。失言で過去の繰り返し批判を受けてきた麻生太郎副総理兼財務相の演説を何度も聞いたという東照二・米ユタ大教授(社会言語学)は、「話しは面白く人気も高いが、公的な言語と私的な言語の区別ができない」と分析する。マニュアルには「身内の会合で盛り上がるテーマに注意」とあるが、「麻生さんは『そんなことは当然だ』と言って、考慮しないだろう」。「腫れ物扱い」懸念 日本文学研究者のロバート・キャンベルさんは昨夏、自民党の杉田水脈衆院議員が性的少数者を差別する内容を月刊誌に寄稿した際、自身が同性愛者であることを公表して批判。社会に発信する立場の政治家にとってマニュアルがあることの意義を認めながらも、失言しやすいテーマにLGBTやジェンダー、歴史認識が挙げられたことを危惧する。「特に若い政治家がいういったテーマは慎むべきだと、腫れ物に触るような振る舞いになるのではないか」マニュアルは政治家が場面に応じて言葉を変えることを是認しているようにも読めると指摘したうえで、「やっかいな『地雷』のようなテーマこそ、勉強して大いに語って、政策につなげてほしい」と話す。(今野忍、林幹益)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る