5月24日「指標偽装 国は過ち認めよ」

東京新聞2019年5月19日26面:生活保護減額訴訟 受給者「我慢の限界」 厚生労働省が2013年、生活保護の給付水準を引き下げた問題で、受給者たたいが引き下げの処分取り消しを求めた訴訟が全国の29地裁で争われている。この問題では、同省が引き下げ根拠とした物価の下落率を意図的に「偽装」したとして国会で野党が追及しているが、同省から納得のいく説明はないまま。生活保護受給者からは根強い不満が上がる。「もう我慢の限界を超えています。裁判官は国の過ちを認めてほしい」 15日に東京地裁で開かれた、裁判の第三回口頭弁論。意見陳述した原告女性(70)は、およそ人間らしい暮らしがままならない困窮ぶりを訴えた。
12年前、病気になって勤務先の警備会社を解雇されてから、生活保護を受給している。生活保護と年金などを合わせた月の収入は約7万円。生活費を切り詰めるため、業務用スーパーなどで安い食材を選ぶ。ガス代が髙く、冬は週2回しか風呂に入れない。女性は「友だちに食事に誘われても、食費を払うことができないことが多いので『忙しい』とうそをついて断らなければならないのはとても情けなく、つらい」と切々と訴えた。女性の窮状の背景には、厚労省が13~15年、生活保護費のうち食費や光熱費にあてる「生活扶助費」を減額した影響が大きい。同省は当時、主な理由に「デフレによる物価下落」を挙げた。その下落率を示すため「生活扶助相当消費物価指数」という新指標をつくり、08~11年に4.78%下落したと公表。この下落率を基に、生活扶助費は3年間で段階的に減り、物価下落の繁栄文580億円を含めて総額670億円減った。女性ら全国の受給者1022人はこれまで、国に取り消しを求めて東京、名古屋など29地裁に提訴。原告側は、厚労省がつくった新指標の下落率の計算が、二つの異なる計算方式を組み合わせるという前例のない仕組みでの計算によって、実際より下落幅を大きく見せているとし「恣意的な計算で下落が誇張されており、違法」などと訴えている。これに対し、厚労省側は一部の裁判で二つの異なる計算方式を使ったことは認めつつも、「厚労相の裁量権の範囲内」などと主張。計算に問題はないとして全面的に争っている。生活扶助相当消費者物価指数に基づく下落率の計算が妥当だったかについては、国会で野党も追及を強めている。先月24日の衆院厚生労働委員会で、高橋千鶴子議員(共産)が「算式が違うものを比較して、正確なデータになるのか」と政府側に質問。参考人として出席した総務省統計局の佐伯修司・統計調査部長は「一般論で言えば、算式が違うものを比較するのは適切ではないと思う」と答えた。
今月16日にあった野党合同ヒアリングでは、高橋氏のほか立憲民主、国民民主など各党の議員も、厚労省の見解をただした。同省社会・援護局保護課の矢田貝泰之課長は「厚労相の判断で行った」と述べることにとどまり、計算の根拠について詳しい説明をするのを避けた。高橋氏は「厚労省は開き直っている。これまで明らかになった多くの統計不正と同様に重大な問題だが、特に生活保護費は受給者の暮らしに極めて密着しており、影響が大きい。今後も追及していく」と話している。(中山岳)

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