5月21日 食品ロス削減コンビニ動く

朝日新聞2019年5月18日2面:ローソン・セブン期限迫る弁当値引き まだ食べられるのに捨てられる食品ロスを減らそうと、コンビニ各社が取り組みを始める。定価販売へのこだわりを緩め、消費期限が迫った弁当やおにぎりを実質的に値引く。ロスの削減は世界的な課題。消費者の意識も鍵を握りそうだ。ポイント還元本部が負担 「食品ロスは社会的に大きな問題だ。ローソンも正面から向き合っていく」。竹増貞信社長は17日に東京都内で開いた記者会見でそう話した。弁当やおにぎりは、深夜から早朝にかけて店に届くが、これに「Another Chioce(もう一つの選択)」と記したシールを貼っておく。これらの商品を午後4時以降に買ってくれた「Ponta(ポンタ)」か「dポイント」の会員に、100円ごとに5円分をポイントとして還元する。還元分は本部が負担するほか、対象商品の売り上げの5%を子どもの支援団体に寄付する。まずは愛媛県と沖縄県で6~8月に実証実験を行い、客の反応や削減効果を確認。全国に広げていく。全国の約1万5千店から出る食品ロスは年4.4万㌧。売り上げに対する廃棄費用の割合を、2030年までに半分にすることをめざす。
セブン―イレブン・ジャパンも、ポイント還元を、この秋から全国約2万店で始める。弁当など約500品目について消費期限まで4~5時間を切った時点でセブンの電子マネー「nanaco(ナナコ)」で買ってくれた客に、定価の5%ほどを還元する方向だ。コンビニの食品ロスをめぐっては、2月の節分シーズンに販売される恵方巻きが大量に捨てられるなど社会問題になっている。各本部が店主と結ぶフランチャイズ契約では、廃棄に伴う負担は、大半が店主にまわる。一部の店主からは、本部の売り上げ確保につながる廃棄を推奨されたとの声も出ていた。値引きの制限は独占禁止法違反にあたるとの判断を公正取引委員会が2009年に示した後も、各本部は定価販売を重視してきた。ここにきて、廃棄削減をうたった値引きに踏み切る背景には、コンビニを取り巻く厳しい世論がありそうだ。ことし2月、大阪府東大阪市のセブン店主が本部の静止を振り切って営業時間を短縮した。各地のコンビニ店主を悩ませている要因として、人手不足に伴うバイトの人件費上昇や24時間営業、大量出店に加え、廃棄分の負担にも注目が集まっていた。神戸大学の石川雅紀名誉教授(環境経済学)は「大量の食品ロスはおかしいという社会の後押しがコンビニを動かした。カード会員を増やしたい本部にもメリットがある」とみる。大手3社のうちファミリーマートは「正価販売のなかで利益を確保していきたい」(広報)としており、ポイント還元に乗り出す考えは今のところない。恵方巻きなどを完全予約制にすることで、廃棄を減らしたいという。(佐藤亜季、神沢和敏)
イオン、「3分の1ルール」緩和 食品ロスを減らす取り組みは、スーパーや外食などほかの業界も含めて広がりつつある。賞味期限をめぐる慣例「3分の1ルール」の見直しはその一つだ。消費期限は傷みやすい食品に設けるのに対して、賞味期限は、傷みにくい食品についておいしく食べられる期限を示す。このルールは例えば、賞味期限が6ヵ月の商品なら、メーカーからの納品の期限はその3分の1にあたる2ヵ月以内とする。これより遅れた商品は、返品や廃棄に回されてきた。
流通大手イオングループは17年、賞味期限180日以上の菓子について「2分の1ルール」に緩和した。納品の期限を60日から90日に伸ばし、ロスを削減。イトーヨーカ堂やユニーも飲料などの期限を緩めた。回転すしチェーン大手の元気寿司は、全店の約8割にたる125店で回転のレーンをなくし、注文のたびにすしの皿を専用のレーンで届けている。12年に導入したところ、廃棄が減った。注文のデータを分析しやすくなり、ネタの仕入れ量も調整しやすくなったという。
国会も動く。食品ロスを減らすための議員立法「食品ロス削減推進法案」は16日衆院本会議で全会一致で可決され、参院に送られた。今国会で成立する見込みだ。超党派の議員連盟が成立をめざしてきたこの法案は、食品ロス削減への取り組みを「国民運動」と位置づける。政府にロス削減に向けた基本方針を求め、これを踏まえた推進計画を自治体に実施させる。まだ食べられる食品を、支援が必要な人に提供する「フードンバンク活動」を支援していく。(野村杏実、長橋亮文)
「鮮度や欠品 消費者も寛容に」 食品ロスは世界的な課題だ。国連で2015年に採択された持続可能な開発目標(SDGs)には、世界全体の1人あたりの食料の廃棄を30年までに半減させることが盛り込まれた。国内の食品ロスは、環境省などによると年640万㌧にのぼる。国連世界食糧計画(WFP)による世界全体の食料援助量の2倍近い。うち6割近くがコンビニやスーパー、食品メーカーなど企業側で出ており、残る4割強は家庭から出ている。政府はそれぞれのロスを30年度までに00年に比で半分にすることをめざす。流通経済研究所の石川友博・主任研究員はコンビニ大手などの動きを「大きな意義がある」と評価した上で「消費者も変わってほしい」」と話す。「鮮度を気にし過ぎるのはやめ、欠品にも寛容になることが大事だ。商品がないとの苦情が出ると、店側は多めに仕入れることになり、ロスが出やすくなる。事業者の取り組みに関心を持ち続けることも大切だ」と話す。(土屋新平)

 

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