4月3日 スマホという怪物「3」

朝日新聞2019年3月27日夕刊8面:実った特ダネの先に 米アップルとの連名でNTTドコモがiPhone発売を発表したのは2013年9月。その直前に、取材先と囲んだ中華料理のランチの席で確信を得た。ドコモの人でも親会社NTTの人でもなかった。なぜ話してくれたのかは今もはっきりしないが、スープが終わらぬうちに話が核心に触れた。「今年の秋冬商戦ではMNP(番号持ち運び制度での携帯会社の乗り換え)が激減する」。ソフトバンク、KDDI(au)に追随してドコモがiPhioneを扱うからだという。えっ。「具体的な話はあるんですか」などと投げかけると、「販売台数の割台など、それまで合意できなかった点で今回は折り合った」「知っているのはドコモの一部の役員だけ」。ときに「知らない」「分からない」とも話したが、その語り口は、かえって情報の確度の高さをうかがわせた。
メモ帳を開くと口が堅くなりかねない。スープや青菜炒めといったメニューと、聞いた話とを結びつけては覚えていった。料理の味はさっぱり覚えていない。店を出ると同僚が言った。「書くしかないですよね。でないと他紙にやられますよ」。電機担当らも含む7人で詰めの取材に走った。アップルの新型iPhone発表会は日本時間で9月11日、水曜日の未明だ。ドコモの件も発表されるだろう。前週のうちに書きたいと考えていた木曜日夜。ライバル紙の記者の動きがいつもと違う。「今晩記事を突っ込まないと、みんなの努力が水の泡だ」。確認を終えた午後8時すぎ、特ダネ出稿を編集局に伝えた。
「ドコモ、iPhoine販売へ契約数回復狙う 20日にも開始」(東京本社最終版)。経済紙と同着といえ、発売日の情報まで入れた1面トップの特ダネだ。荒廃は晴れやかに「終わりましたね」と言った。日本独特だった携帯の産業構造が持たなくなり、世界の巨人のもとでの競争が始まる号砲でもあった。(永島学)

朝日新聞ASAの伸光堂西部販売 森林文化協会

ご予約・お問い合わせはお気軽に

Tel0120-740-276

〒352-0011 埼玉県新座市野火止8-14-29

ページトップへ戻る