30日 政務活動費を問う【下】

埼玉新聞2017年8月26日1面:支給額にばらつき 地方議会で格差、ゼロも 地方議員の調査研究や広報などの経費として議員報酬とは別に交付される政務活動費(政活費)。具体的な金額や支出の基準は各自治体が条例などで定めている。そのため、都道府県や市町村で金額や支給方法はまちまちだ。
県議の政活費は1人当たり月額50万円。2016年度の県議会政活費の交付額は5億5350万円。そのうち実際に使用された総額は約5億1556万円で、執行率は93.2%。会派で見ると、執行率は民進・無所属91.3%、公明72.6%、県民会議83.5%、共産76.7%。最大会派の自民と改革の会が全額を使い切った。
民進系県議の一人は「使い切りだと心理的に無理して使うことになり、領収書の改ざんなどにつながる可能性がある」と指摘する。県内の市町村議会では、政令市のさいたま市議会が月額34万円。来年4月の中核市移行を目指す川口市議会は同18万円なのに対し、特例市の熊谷市議会は同1万5千円と開きがあり、他の市議会を比較しても金額にばらつきが生じている。
23町村議会は、半数の11町村議会には政活費がなく、議員報酬も県議(月額約92万円)や市議と比べて、少ないことから、議員の深刻な「なり手」不足や無投票当選を生み出す背景になっているとの指摘もある。県町村会によると、町村の議員報酬は、三芳町議会が最も多い月額25万2千円(16年4月現在)。最も少ないのは東秩父村議会の同17万1千円。
政活費がゼロの県北部の町議は「農業との兼業だから何とかやっていける。議員報酬(月額21万7千円)だけではとても生活できない」と打ち明ける。27日に市議選が告示される八潮市議会は昨年4月、条例を改正して議員報酬を月額38万円から39万5千円、政活費を年額10万円から20万円に引き上げた。
同市議会事務局によると、政活費の引き上げについては、人口増加に伴い市民からの議員への要望が複雑化や多様化しており、市民の負託に応えるため、研修や視察を増やして知識の向上を図ることが狙いという。
同市議の一人は「持ち出しが多く、報酬や政活費も周辺自治体議員と比べて低かった。志のある人に議員になってもらい、議会専業も可能になるように政活費の引き上げが必要だった」と理解を求めている。一方、全国の地方議会で領収書の改ざんなどが相次いでおり、「使途に誤解を招かないように透明性を高めなければならない」と話す。
元県議の佐藤征治郎氏(78)は現役時代、政活費支給を申請しなかった。会合に顔を出しても会費を出さず、「手ぶら」で通したという。佐藤氏は「政活費という制度がある限り、不正使用はなくならない。議員は給与と同じ感覚で使っている」と指摘する。
架空請求などの不正が発覚するたびに、使途の不透明さから「第2の報酬」と問題視される政活費。佐藤氏は「(議員の)なり手を求めるのなら政活費を廃止して、その分、議員報酬は増やしてもいいのではないか。議員一人一人が使い方を厳選し、知恵を絞るようになる。有権者もカネやモノに左右されないように意識を変えないといけない」と提言する。(この連載は砂生敏一、福田龍之介、坂本圭、佐々木望が担当しました)

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