3日てんでんこ 皇室と震災Ⅱ【19】

朝日新聞2017年8月1日3面:天皇陛下は即席であいさつの言葉を述べた。まったく予定外だった。 2013年10月27日天皇、皇后両陛下は「全国豊かな海づくり大会」のため熊本県水俣市を訪れ、水俣病患者らと会った。「てんでんこ」は災害に向き合う人々を描く企画だ。水俣病は原因企業チッソの排水による公害病であり、自然災害ではない。だが東日本大震災でも、津波の被害者と、東京電力福島第一原発事故からの避難者とで、両陛下の姿勢に違いは見られなかった。側近の一人は「被災者を慰めるという観点からは、両陛下にとっては天災も人災も関係ないのかもしれない」と語る。
水俣病資料館語り部の会の緒方正美会長(59)は13年春、「両陛下にお会いしたい」と県に申し入れた。すると「会えるかも知れません」との返事があり、8月には「天皇陛下のご要望で、ぜひ語り部の話を聞かせてほしいとのことです」と話が進んだ。10月27日午後、両陛下は語り部の会と会った。
10人が並び、緒方さんが代表して講話をした。題は「私が水俣病から学んだことー正直に生きる」。原稿は内ポケットに入れていたが、目を通すことはなかった。「日本は戦後復興をめざす中、水俣病という重大な過ちを起こしてしまいました。水俣病は日本の政策のもとで起きた失敗だと思います。水俣病は現在いろんな問題を残し、決して終わっていないことを両陛下に知っていただきた」
「私は自分の水俣病被害を周りの人に知られないために必死で水俣病から逃げて続けました。・・・やがて、私は自分が求めていた本当の幸せとは、隠し続けることではないと気づきました。・・・正直に生きる事がどれだけ人間にとって大切か思い知らされました」
天皇陛下はその直後、その場で約1分間、即席であいさつの言葉を述べた。まったく予定外の行動だった。「ほんとうにお気持ち、察するに余りあると思っています。やはり真実に生きるということができる社会を、みんなで作っていきたいものだと改めて思いました。‥今後の日本が、自分が正しくあることができる社会になっていく、そうなればと思っています」(北野隆一)

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