3日てんでんこ南海トラフ10

朝日新聞2017年2月27日3面:黒潮町の人たちが死ぬようなことになってほしくない。心ら思います。 「直ちに避難してください」。訓練開始の放送で、子どもたちが津波避難タワーを目指して駆け出し、軽自動車は高台に向かった。故知見黒潮町の万行地区で昨年4月、自動車による津波避難訓練があった。
訓練後の防災勉強会。「地震でブロック塀が倒れそう」「地震後も橋は渡れるのか」「道路が狭くて混み合いそう」。住民たちがグループに分かれて、通った経路や避難の障害となりそうなことを話し合った。町職員の友永公生(45)も身を乗り出して地図を確認した。
東日本大震災では、車で高台に逃れた人がいた一方、渋滞で津波にのまれる車も相次いだ。南海トラフの地震が起きれば、万行地区でも倒れた建物に道をふさがれたり、渋滞が起きたりして車が津波に追いつかれる恐れがある。訓練に参加した京都大教授の矢守克也(53)は「強い揺れと大津波が来る南海トラフの地震は、阪神大震災と東日本大震災が同時に来るようなものです」と警告した。
京都大学院生、中居楓子(26)が2013年春までに行った調査では、車で逃げると答えた世帯は地区の21%だった。だが、14年の伊予灘地震では避難した人の73%が車を使っていた。副区長の澳本準一(69)ら地区役員は、要支援者の10人以外は逃げる時に車を使わないよう呼びかけている。だが、「地震の時、全員にルールを守ってもらうのは難しいんじゃないか」。不安は消えない。
中居は、ルールを守る人の数が増えれば、逃げ切れる人がどれだけ増えるのかを調べる研究をしている。この日の訓練後、住民に協力を呼びかけて、車と歩行者に同時に道を進んでもらい、移動速度を調べた。「元気があったら、もう一度お願いします」。中居の明るい声に、調査で顔なじみになった住民たちが、歩き続けた。
「ルールの内容によっては、半数が守るだけでも生存者はかなり増える。希望を持ってほしい」と中居は話す。今春に大学院を終えた後も研究員として大学に残り、博士論文にまとめるつもりだ。「黒潮町の人たちに死んでほしくない」。心から願っている。
(佐藤達弥、黒沢大陸) ■備え 避難は「原則徒歩」。しかし、「思考停止」せず、車での避難も検討する(黒潮町の基本方針)

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