29日 池上彰の新聞ななめ読み

朝日新聞2017年5月26日15面:加計学園「総理の意向」文章 それでも認めないトップ
5月16日の夜7時、NHKニュースが「秋篠宮ご夫婦の長女の眞子さまが、大学時代の同級生の男性と婚約される見通し」という特ダネを報じました。これを受けて新聞各紙は翌17日の朝刊で追いかけます。各紙1面トップで報じる中、異彩を放ったのが朝日です。「眞子さま婚約へ」という記事は2番手で、1面トップに加計学園の新学部は「総理の意向」という別の特ダネをもってきたからです。
この紙面構成にするに当たっては、社内で議論があったのではないかと勝手に推測しています。加計学園をめぐる特ダネ記事を1面トップにするか、眞子さまの婚約の見通しをトップにするか。
朝日は独自路線を選択しました。いい判断でした。加計学園の新学部に関し、安倍晋三首相の意向が働いたかどうか。これが最大の焦点でした。それを示す内部文章が文部科学省の中にあったというのですから、スクープです。
<安倍晋三首相の知人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、文科省が、特区を担当する内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと言われたとする記録を文章にしていたことがわかった>
そうか、ついに決定的な証拠が出たか。一読して、そう感じたのです。朝日の特ダネに敏感に反応したのが毎日です。17日付け夕刊で、すぐに追いかけました。次のように。
<毎日新聞が文科省関係者から入手したA4判の文章によると、「獣医学部新設に係る内閣府の伝達事項」と題された文章には「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」「これは官邸の最高レベルが言っていること」と早期の開学を促す記述があった>
この記事を読むと、毎日が入手した文章は、朝日が得ていた文章と同一のようです。朝日の記事が重要な特ダネだと毎日も理解したのです。朝日が報じた文章について、同日午前、菅義偉官房長官は「どういう文章か。作成日時だとか、作成部局だとか明確になっていないじゃんないか。通常、役所の文章はそういう文章じゃないと思う」と語ったそうです(18日付け朝日朝刊)。官房長官は怪文書扱いしたいのですね。不思議な対応です。
本来、このような重大な事実を推測させる文章の所在が報道されたら、「重大な問題を提起している。早速事実関係を調べてみたい」と答えるべきなのではないでしょうか。それが、怪文書扱いして調べようとしないのは、何か不都合なことがあるからではないかと思ってしまいます。
この官房長官の記者会見でのコメントに、朝日は事実をもって反論します。18日付け朝刊で、作成日時と「対応者」の4人の実名が書かれていると報じたのです。
さあ、こうなったら、実名が記された人たちは、なんと答えるかのか。朝日は19日付朝刊で伝えています。18日の国会答弁で、「わからない」「記憶にない」と繰り返したというのです。
さらに20日付朝刊で、文科省が文書の所在を調べたが「所在は確認できなかった」と松野博一文科相が発表したと報じています。「個人が省内で使っているパソコンは調べなかった」というのです。
これを調査というのか。都合の悪い文章の所在が明らかにされたため、関係者たちが右往左往している様子がわかります。この対応に朝日は追い打ちをかけました。25日付朝刊で文科省の前川喜平前事務次官のインタビュー記事を掲載。事務次官在職中、問題の文章を見たと証言したのです。
怪文書ではなくなりますが、松野文科相は25日の参議院文教科学委員会で、「すでに辞職された方の発言であり、文科省としてコメントする立場にない」と述べています。何としても認めたくない。教育行政のトップは、こういう人なのです。
🔶東京本社発行の最終版を基にしています。

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