27日てんでんこ 皇室と震災【2】

朝日新聞2017年5月24日3面:切望した女川訪問。「壊滅状態の町の様子が忘れらえない」 2016年3月17日、天皇、皇后両陛下は宮城県石巻市から東に隣接する太平洋沿岸の女川町に向かった。震災での死者・行方不明者は800人超。甚大な被害が出たこの地を訪れることを、かねて切望していた。
案内役を務めた女川町の須田善明町長(44)は、両陛下は震災直後の11年4月27日、自衛隊のヘリで上空から視察した際、女川の惨状を目の当たりにし、早い時期の訪問を考えていたいと聞いた。宮内庁関係者は「両陛下は解決状態にあった町の様子が忘れられない、とたびたび口にされた」と明かす。
「春風も沿ひて走らむこの朝女川駅を始発車いでぬ」。皇后さまは15年、震災で不通になっていたJR石巻線の全線開通を歌に詠んだ。この訪問時、須田氏は女川駅が見える位置で、両陛下に復興の歩みを説明した。限られた時間のなか、須田氏が話を切り上げようとすると、皇后さまは「もう少しうかがいたい」と呼び止めた。
駅に温泉施設があること、展望台から日の出を眺められることを伝えると、皇后さまは「中にお花のタイルが飾れていますよね」と口にした。駅の休憩場にあるタイルアートに、公募で集まった花のイラストがちりばめてられていることを事前に把握していた。須田氏は「私たちに寄り添っていただいている」と感じた。
駅前に広がる商店街「シーパルピア女川」では、両陛下は精力的に住民らに顔が触れ合うような距離まで近づき、店舗内に入って声をかける場面もあった。続いて、津波被害から工場を再建した同町の水産加工会社「ヤマホン」を訪問。サンマやギンザケの加工過程を視察した後、再び石巻市の県水産会館に立ち寄った。
会館で、予期せぬ出来事が起きる。階段を歩いている際、天皇陛下が踏み外すような形になった。外にいた住民たちの姿に気づいた陛下が、それにこたようとしたようだった。
仮設住宅に暮らす千葉ちえ子さん(73)はこの場面を目撃していた。「両陛下の訪問がありがたくみんなで涙を流していた。だが、負担が大きかったのではと申し訳ない気持ちにもなった」 (島康彦)

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