26日 患者を生きる 依存症 ギャンブル3

朝日新聞2017年2月22日31面:金使い切り3ヵ月入院 パチンコがやめれず息子の担任まで金を借りた北九州市の男性「一心」さん(60)は2001年6月、親族に連れられ、市内の八幡厚生病院の精神科を訪れた。アルコール依存症を治療する精神病院として知られていたが、ギャンブル依存の治療実績はほとんどなかった。一心さんは入院患者の第1号となった。
診察したのは小説家の帚木蓬生として知られる森山成明彬さん(70)。一心さんは終始うやむやな物言いで、森山さんの問診をのらりくらりとかわした。「口を開くと言質を取られるからはっきりさせない。ギャンブル依存症患者に特有の態度。完全な病的賭博(ギャンブル依存症)」と診断した。
その場で入院を勧めたが、一心さんは「3日間考えさせて欲しい」と猶予を求めた。財布に残っていた4,5万円でパチンコをしたかった。病院を出ると、すぐパチンコ屋へ。勝ち負けを繰り返し、3日目に金をすべて失った。戻る先は病院しかなかった。入院は3ヵ月間に及んだ。
当初ギャンブル依存の治療プログラムはなかったが、森山さんは「アルコール依存症の患者と同じ内容でよい」と考えた。野菜を栽培したり、依存症を学ぶ研修に参加したりして過ごした。看護師から「アルコールという言葉を全てギャンブルに置き換えて勉強してください」と助言された。
入院当初、心に穴が開いたような、何かが欠けた気持ちになった。病棟でスポーツ新聞を読んでいると、パチンコ店の広告が目に入って思わずびくついた。森山さんに話すと購読をやめてくれた。入院中、市内の「ギャンブラーズ・アノニマス」(GA)に通い始めた。ギャンブル依存症の患者らが回復を目指す自助グループだ。週1度、経験や近況を語りあい、回復を助け合う。だが、同じ境遇の人たちを前にしても一心さんは過去を正直に明かせなかった。「責められたり説教を受けたりする」という不安が強かった。
患者の家族もいた。うそや借金に巻き込まれた経験を話しながら「依存症は病気といわれるのが許せん」と泣いていた。うろたえいると、他の参加者に「また来てください」と言われホッとした(錦光山雅子)

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