25日てんでんこ 音楽の力「1」

朝日新聞2017年8月22日3面:高橋みなみが訴えた。「私たちが行って元気をあげたい」 色とりどりの照明が激しく点滅し、大音量の曲が響く。小さなステージを、少女たちが、歌って、踊って、跳ねる。7月28日、東京・秋葉原のAKB48劇場。夕方の初日を迎える公演に出る10代のメンバー15人が、最後の稽古をしていた。
2011年3月11日も、劇場は公演の準備中だった。揺れは長く、激しかった。直後、東北地方などが津波に襲われた。公演は中止になり、そのまま同28日まで劇場は閉鎖された。横浜のコンサートも中止となった。AKBに限らず、娯楽の歌謡音曲が消えた。
AKB48の総合プロデューサー秋元康(59)。「普通の女の子がアイドルに成長するプロセスを見せる」がコンセプトだ。ファン参加の握手会や「総選挙」でも注目を集め、アイドルの頂点に駆け上がった。「絆」や「支援」が叫ばれる中、秋元の携帯にすぐ、高橋みなみ(26)=後に独立=からメールが届く。グループを束ねるリーダー的存在だった。
「私たちが行って被災者に元気をあげたい、笑顔になってもらいたい」前年の「総選挙」で1位となりセンターを務める大島優子(28)=同=も直談判してきた。だが、秋元はためらう。「もう少し待とう。被災地はそんな状況じゃないぞ」多くの犠牲者や行方不明者にいる中、アイドルの行動がどうとらえられるか。
NHKのプロデューサーだった石原真(59)は紅白歌合戦に12回関わったベテラン。秋元とは30年来のつきあいだ。石原は震災後、ソロデビューする前田敦子(26)=同=の新曲ビデオを千葉県で撮っていた。撮影を終えた5月2日は、秋元の誕生日。仕事の報告を兼ね、誕生日メールを送った。
秋元からの返信がきっかけとなる。「AKBを被災地に応援に行かせるプロジェクトをお願いします」
(山浦正敬)=文中は敬称を略します。

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