25日 問う「共謀罪」

朝日新聞2017年5月22日30面:「自由制限される」集会やデモ、各地で 「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法改正案が衆院法務委員会で採決されたことを受けて21日、各地で反対するデモや集会が開かれた。東京都のJR新宿駅周辺では、約1800人(主催者発表)が「共謀罪廃案! 自由を守れ!」などと声を上げながら約1時間歩いた。「若者憲法集会実行委員会」が主催。福島県から参加した会社員男性(33)は「法案をきっかけに、私たちの自由が制限され、監視社会に向かっていくのでは」と不安そうに話した。
大阪市西区の靭公園でも、大阪弁護士会主催で反対集会が開かれ、約4千人(主催者発表)が集まった。同会の小原正敏会長は「市民の自由や人権を大きく制約するには明らかで、到底受け入れられない」。会長経験者17人が連名で、国会での十分な審議を求める声明を出した。
福岡・天神では、福岡県弁護士会主催で集会とデモ行進があり、約400人(主催者発表)が声を上げた。集会で石村善司治・福岡大名誉教授は「本当の狙いは、憲法で保障された集会・結社の自由を取り締まることだ」と訴えた。(阿部健祐、大隈崇、井上玲)
戦中のノートのざれ歌通報され 治安維持法と類似点 危惧 被爆者で漫画家の西山進さん(89)=福岡県南区=は21日、朝から急いで作った漫画入りのプラカードを手に、福岡市・天神の公園で開かれた集会に駆けつけた。「共謀罪」と戦前・戦中の治安維持法の類似点について登壇者が口々に指摘するのを聞きながら、「あの時代の息苦しさは、体験した者こそが知っている。それを若い人たちに伝えないと」。10代の苦い記憶を思い出していた。
1942年、少年工として長崎市の三菱重工業長崎造船所に入った。広大な敷地の一角では、軍艦を建造していた。誰もが知っていたが、軍事機密のため話題にするのを避けた。きつい仕事、軍隊のような上下関係、食糧不足のひもじさ・・。つらい日々をせめて笑って紛らわそうと、ざれ歌をつくり、ノートに書きとめた。今では詳しく思い出せないほど、たわいのない歌詞だった。
ところが、工場で仕事中に寮の私物を会社が調べ、ノートの歌を警察に報告。「戦時体制への批判だ」として、西山さんは警察に呼び出された。「今で言えば、SNSの書き込みがチェックされるようなものではないでしょうか」 取調室で刑事から「どうしてこんな歌を書いたのか」「戦争についてどう思うか」と問いただされた。隣の部屋からは何かが激しくぶつかる音や悲鳴が聞こえた。怖くなった西山さんは、刑事に迎合して「国ために一生懸命働きます」と誓った。
「今も悔しくて情けない。でも10代の子どもにはそうするしかなかった。権力が子どものされ歌にまで目を光らせ、萎縮させて自由を奪ったのです」
45年8月、長崎に原爆が投下された。西山さんは救援のために爆心地付近を歩いて縦断した。戦後は福岡県・筑豊の炭鉱で働いた。絵の腕を見込まれて労組の書記になり、絵入りの広報やポスターを描いた。
50年に朝鮮戦争が起こると、「戦争は、もうゴメンだ」と漫画入りの壁新聞を作り、炭鉱住宅に貼って回った。今も核廃絶や脱原発、安保法制反対を訴えるポスターや横断幕を描き、市民運動に協力している。
治安維持法は敗戦によって廃止された。「戦争で多くの犠牲を払い、やっと手にした自由。戦争を知る世代として、被爆者として、再び奪われたくはありません」(佐々木亮)

 

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