22日 「共謀罪」採決強行

朝日新聞2017年5月20日1面:衆院委自公維で可決 犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法の改正をめぐり、自民、公明両党は19日の衆院法務委員会で、野党が反対する中、日本維新の会と共同で提出した修正案の採決を強行し、3党の賛成多数で可決した。与党は23日の衆院本会議で可決し、6月18日までの国会会期を小幅延長することも視野に入れ、今国会で成立させる方針。
「共謀罪」法案は、組織的犯罪集団を対象に277の犯罪を計画し、資金調達などの準備行為を処罰する内容。犯罪を実行に移した段階から処罰する日本の刑事法の原則を大きく変えるものだ。政府はテロ対策を前面に掲げ、法案が成立しなければ、国際組織犯罪防止(TOC)条約を締結できないと説明してきた。
自公維3党の修正協議では、取り調べの可視化(録音・録画)やGPS(全地球測位システム)捜査の制度化の検討を盛り込んだ。将来の憲法改正をにらんだ3党の連携を強める意味合いが大きく、内心の自由などを制約しかねない法案の本質は変わらなかった。参考人質疑を除き、30時間25分の審議時間で与党は委員会採決に踏み切った。
採決前に安倍晋三首相が出席して行う質疑は重要法案の審議では慣例だが、「何度も首相の時間を作るのわけにはいかない」(自民の鈴木淳司法務委員長)などとして応じなかった。
民進、共産、自由、社民4党の国会対策委員長らは委員会後、大島理森議長に対し、採決無効を主張。委員会に差し戻し、本会議採決を行わないよう求めた。大島議長は「議院運営委員会の場で協議してもらう」と述べるにとどまった。(南彰)
異論軽視 熟議なき国会 犯罪の実行行為を処罰するという刑事法の原則の大転換にもかかわらず、与党が決めた審議時間通りに採決が強行された。政権の都合ばかりが優先された「熟議なき国会」と言われ得ない。
「共謀罪」に当たるかが外形からだけではわからず、内心の自由を侵す恐れが審議を通じて一層明確になった。捜査に着手する時点で従来と比べて早まり、公権力による監視が強まる可能性もはっきりしてきた。そうした危険をどう封じこめるかのか。議論は明らかに足りていない。
金田勝年法相は法案の理解不足が目立ち、答弁がおぼつかなかった。政府の独りよがりの説明も混乱に拍車をかけた。「一般人」を対象外と言うため、犯罪立証のために日常的に行われる尾行さえ「行わない」と強弁。異論を受け付けない姿勢では、議論が深まるはずもない。
国会は本来、批判や反論を通じて、法案への疑問や不安を解消する役割はある。通信傍受の拡大や司法取引の導入で捜査権限を拡大した2016年の刑事訴訟法などの改正では、今回の2倍以上の70時間近い審議をした。「共謀罪」法案に不安を抱く人は少なくない。議論の軽視は許されない。(国会担当キャップ・石松恒)

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