21日 オトナになった女子たちへ

朝日新聞2017年5月19日29面:伊藤理佐 また、ギックリ腰っぽいのだった。庭の草取りがいけなかった。枯れたムラサキナバナを抜いた時にグキッと。歩くと楽になるので、近所の住宅街を歩いていた。近くの中学校から出てきた部活帰りだろうか、のろのろ歩く体育着男子3人を追い越した。しばらくしてうしろから 「今、笑ったのは〇〇君でーす」と声がした。 「バカ、やめろよ!」ゲラゲラ。笑い声。「?」
と、なったが、ああ、わたしか。なんか笑われたのか。と気づいた。急ぎ足で3人からどんどん遠ざかるのだが、まだ笑い声がする。さて。 〇〇君は、私の何を笑ったんだろうか。そういえば。去年、旅行で言った韓国でも似たようなことがあった。博物館に行ったのだが、たぶん学校の授業で、集団で来ていた高校生の男子ひとりが、上りのエスカレーターでわたしの隣にピタッと、並んだ。追い越して行かない。「?」
うしろからドワッと、仲間の笑い声。はしゃいでいるけど、言葉がわからない。なんかの罰ゲームみたいな雰囲気。(ハイハイハイ、バカ野郎)と、オバサンぶったが、まあアバサンなのだが、国を越えても、何かあるのだ、わたしに。つまり、「選ばれしオバサン」あのだ~~!(ヤケ) 奴ら(と、言っていいと思う)は、杖をついたおばさんにはそんなことしないだろう。モデルさんみたいな美人にもしない。「美人」や「美男子」が奴らを黙らせる力はものすごいのだ。電車の中で見たことがある。こわ~いサングラスの人にもしないだろうし、校長先生もしない。知り合いのお母さんにもしないだろうなあ。つまり、「わたしに、何かがある!」 か、「わたしに、何かがない!」のだった。それはなんだろう。なぜ、わたしは選ばれたのか。もしや、一大研究ではないだろうか。人間学。どっかの卒論書けるんじゃないか。タイトルは「選ばれる理由」。もちろん「愛される理由」のパクリである。なんか腰がどんどん良くなってきた。よかった。(漫画家)

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