20日 認知症診療さらに負荷

朝日新聞2017年2月18日3面:「既にぎりぎり」「3~4ヵ月待ちも」受診増、早期治療に影響
認知症かどうか受診する人の急増で、一般の人を含む患者の早期治療に支障が出るかもしれないー。認知症ドライバーへの対策を強化する改正道路交通法の施行まで1ヵ月を切る中、治療拠点となる認知症疾患医療センターへの朝日新聞の調査でこんな懸念が浮かび上がった。現場では専門医不足を補うため模索が始まっている。1面参照
島根大学医学部付属病院(島根県出雲市)の新規の認知症患者は年間200人で、認知症疾患医療センターの予約から受診までの期間は今も1~2ヵ月かかる。新年度に「認知症のおそれ」と判定され、受信を求められる県内のドライバーは県警の推計で約800人。山口修平センター長は「受診待ちは3~4ヵ月になる可能性もある。治療を必要とする人への診療が遅れることが心配だ。医師会とも相談して対応を検討中」と話す。
あずま通りクリニック(福島市)の小林直人院長が最もおそれるのも、緊急対応が必要な認知症患者への初期対応の遅れだ。
認知症が疑われる人を早期診断につなげる「初期集中支援チーム」の運営を市から委託されている。3年半で約200軒の家庭を訪問したが、6割が一人暮らしか老々介護。幻覚や妄想で眠れない、何も食べていないといった命の危険がある人もいたという。
小林院長は「優先順位を決めて対処しているが、通常診療と支援チームの活動との調整は今もぎりぎりだ。改正道交法施行後に診断要請が手中すれば、業務が成り立たなくなってしまう」と危惧する。
診断後のサポート体制を心配する声もあった。いずみの杜診療所(仙台市)の山崎英樹医師は、、免許更新などがきっかけにの診断が「早期発見・早期絶望」につながらないような支援が必要と指摘。「認知症の本人が認知症と診断された人の相談に応じるピアカウンセリング、本人同士が語り合う本人ミーティングなど診断後支援の普及が不可欠だ」と提言する。
調査では、免許取り消しにつながる診断に反発する患者からのクレーム・苦情についても尋ね、回答した73医療機関にうち81%の59機関が「懸念」「やや懸念」と答えた。
認知症ではないと診断した人が事故を起こした場合など、診断の責任を問われる可能性については「懸念」「やや懸念」との回答が79%の58機関に上った。
開業医と役割分担模索 受信者が殺到した場合の混乱を避けるため、対策に乗り出す動きもある。千葉県旭市にある総合病院の国保旭中央病院は、同市を含む7市町をカバーする認知症疾患医療センターだ。昨年11月、地域の中小医療機関や開業医らが入る医師会の代表者ら20人に集まってもらい、持田英俊センター長(57)が「役割分担」を呼びかけた。
認知症は専門医でなくても診断できるため、かかりつけ医として日頃診ている関jぃ屋が認知症かどうかが明らかな場合は、診断書を作成するよう依頼。画像検査の機能がなければ、センターの危機を使ってほしいと伝えた。そして、診断に迷ったり「運転を続けたい」との強い意向があったりするなど、対応が困難となった患者はセンターが対応するとした。ほかにも認知症患者を多く診る開業医を個別に訪ねて回り、おおむね賛同を得られているという。持田センター長は「センターがパンクするのを防ぎ、診断書の作成に迅速に対応するには、地域の医療機関との連携がカギを握る」と話す。
開業医が多く入る日本医師会(日医)も、専門医に診断依頼が集中しないように協力する考えだ。横倉義武会長は1月の記者会見で、診断書作成に会員の医師が不安を持っていることを踏まえ、「長年診ている患者に対応できるよう、診断書作成の手引を3月までに策定するよう準備を進めている」と述べた。(森本美紀、十河朋子、編集員・田村建二)

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