2月15日 オトナ♡ムーミン

朝日新聞2020年2月8日夕刊1面:原作の世界観徹底10年で市場6倍 北欧のフィンランドが生んだキャラクター「ムーミン」。日本ではアニメなどでもともと知名度が高かったが、近年さらに人気が高まっている。きっかけは約10年前からのある路線転換だ。特に日本での人気がひときわ高いとされるムーミン。その背景を探った。 高級チョコ・女性誌の付録・・ 東京・銀座の百貨店、松屋銀座の食品売り場に、ムーミンの小説などの挿絵をあしらったブルガリのチョコレートが並んでいた。5個入りは税込み6500円と値が張るが、昨年12月に発売した第1弾は120個が完売。デザインは変わった第2弾も好評で、ほぼ完売したという。この高級チョコは、松屋傘下の専門商社が、ムーミンの著作権を持つムーミンキャラクターズ社(フィンランド)側とライセンス契約を結んだことで実現した。3月上旬にはムーミンのキャラクターを使った虎屋のようかんを売り出す予定だ。松屋の古屋毅彦・専務執行役員は「ムーミンは30~50代の大人の女性に人気が高い。食品以外の商品化も含め、3年ほどで結果を出したい」と話す。フィンランドの作家トーベ・ヤンソン(1914~2001)が書いたムーミンの小説は、そのストーリーとともに温かみのあるイラストが特徴。日本では岸田今日子さんがムーミンの声を担当したテレビアニメが69年に始まってから、90年代まで3度にわたってアニメ化され、親しまれてきた。ムーミンキャラクターの国内での商品化権を管理するライツ・アンド・プランズ(東京都)によると、世界のムーミン関連市場の規模のうち、日本向けが4割以上を占めるほどだ。そんな人気のムーミンは10年ほど前、ある路線転換を行った。ヤンソンの親族が経営するムーミンキャラクターズ社の強い意向を受け、商品化にあたっては原作の世界観を尊重することを徹底。過去のアニメ画像からの商品化をやめ、使うイラストは、ヤンソンの小説9作品とコミックスなどからに限定した。アニメではムーミンやその家族には色が付いていたが、原作通り、これらのキャラクターには白以外は認めないようにした。その結果、北欧ブームも追い風に女性を中心に人気が出た。スナフキンやミイといった魅力的な登場人物と、彼らが発する言葉。どんな相手も受け入れ、自分たちも自由に暮らすムーミン谷の世界観が支持を集めた。ヤンソンの生誕100年の14年に松屋銀座で開かれたムーミン展も好評だった。商品化権の許諾を受けた企業は10年の60社から150社に急増。国内の市場規模は約80億円から20年3月末には6倍近い450億円規模になる見通しだ。ライツ社の中山拓巳社長は「ムーミンをヤンソンの作品に戻し、オトナにターゲットを絞って進めてきた。芸術性や世界観を守っていきたい」と話す。人気を象徴する一つが、ファッション雑誌の付録だ。ムーミンのキャラクターは19年の1年間に、20近い雑誌に付録として登場した。女性ファッション誌で実売1位のリンネル(宝島社)には、昨年だけで3度も付録として出た。付録担当の柏村結実さんは「普段はキャラクターものを持たない女性も、ムーミンなら持つ。原作の世界観も含めて、ほかのキャラクターにはない魅力がある」。 「初心者」開拓再び子どもへ 大人の女性がブームを引っ張ってきたムーミン。今後は再び子どもたちも視野に入れた取り組みが始まる。1月中旬の3連休の初日、ムーミンバレーパーク(埼玉県飯能市)には、多くの家族連れが訪れていた。約7㌶の敷地に、赤い屋根に青い壁のムーミン屋敷など忠実に再現。こうしたテーマパークは、本国フィンランド以外ではここだけだ。昨年3月の開園以来、周辺施設も含めた来場者は月10万人超になる。運営会社ムーミン物語の広報担当者、池田明子さんは「来場者は根っからのファンだけでなく、『ムーミン初心者』が圧倒的に多い。裾野を広げていきたい」と話す。昨年からは、NHKのBS4Kなどで日本では約30年ぶりとなる新作アニメの放送も始まった。文房具やおけいこ用のバッグなど、子ども向け商品の発売も続く。ライツ社の中山社長は「今年は最初の小説の発表から75年の記念の年。幅広い人たちにムーミンの魅力を知ってもらいたい」と話す。(土居新平)

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