18日 教えて! カジノ【1】

朝日新聞2017年2月15日5面:政権、成長戦略の目玉に カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備を政府に促す議員立法「カジノ解禁法」が昨年12月に成立しました。ギャンブル依存症対策や刑法の賭博罪との整合性をめぐる具体的な制度設計はこれから。政権がIR整備を急いだ背景や、今後議論となる問題をシリーズで探ります。
カジノ解禁法とは、カジノの収益を軸にホテルや国際会議場、ショッピングセンターなどが一体となったIRの立地を可能にする法律のことだ。
カジノをめぐっては、1990年代末に、当時の石原慎太郎・東京都知事が「お台場カジノ構想」を打ち上げ、2000年代前半には各地の自治体が研究会をつくった。国側で動きが本格化したのは民主党政権時代の10年。自民、民主、公明など超党派の「国際観光産業振興議員連盟」が発足し、議員立法を目指す動きが強まった。
自民党が政権に復帰した後の13年、議連は、観光や地域経済の振興を目指し、カジノ解禁法を国会へ提出。14年に1日だけ審議されたが、衆院解散により廃案になった。再提出された後も、15年は安全保障関連法の成立、16年は参院選があり、実質的な審議は見送られていた。
にわかに動き出したのは昨年の臨時国会。審議入りのタイミングを計っていたのは、首相官邸だ。安倍晋三首相はかつて議連の最高顧問を務めており、14年にシンガポールのIRを視察した際は「日本の成長戦略の目玉になる」と発言。政権は観光を成長戦略の柱に据え、訪日外国人旅行者の目標人数を20年に年間4千万人、30年に6千万人とはじいている。カジノはそのエンジン役と位置づけていたのだ。
菅義偉官房長官もカジノ実現に積極的で、太いパイプを持つ日本維新の会の松井一郎・大阪府知事が呼応した。松井知事は、橋下徹前大坂市長とともにIRの大阪誘致に旗を振り、「20年の東京五輪後の成長戦略に」と訴えてきたからだ。
府・市が25年の開催を目指す万博博覧会(万博)に向けたインフラなどの整備のためにも、IR事業者が「1兆円」規模とうたう投資が必要と考えている。イベントまでの準備を見据えると、推進派にとって残された時間は少なかった。
ロビー活動一気に審議入り  与野党幹部は、宿泊施設不足解消にもつながると訴える。観光庁によると、15年の宿泊施設の客室稼働率は大阪府が84.8%で、東京都82.6%。予約が取りづらい状態は観光戦略の足かせともなっており、IRを起爆剤に宿泊施設への投資を呼び込もうという狙いもある。
昨年10月、維新幹部を訪ねた米カジノ運営大手の幹部は「臨時国会で絶対に通してもらいたい」と要望。ロビー活動は強まっていた。ある自民党幹部は「これ以上ズルズルと議論すら始められないなら、海外の投資家にも事業者にもそっぽを向かれる。もうタイムリミットだ」と漏らした。
そこへ11月末までの会期が14日間延長になったことをきっかけに、自民党は一気に審議入りへと動いた。委員会での審議時間は衆院5時間33分、産院16時間。条文に依存症対策防止と5年以内の見直しを付則に盛り込む微修正を行い、12月15日未明に成立した。
ただ、法律は首相を本部長とする推進本部設置やカジノの規制基準などを盛り込んだ実施法案をつくるよう政府に求めるといった基本的な内容を定めているだけだ。IRでのカジノを合法化したり、ギャンブル依存症対策を示したりする規定は、政府が早ければ秋の臨時国会にも提出する実施法案に「丸投げ」されている。
維新の吉村洋文大阪市長は今月6日、IRの開業について「23年を目指す」と表明したが、世論の反発はなお根強い。カジノ解禁法成立直後の昨年12月中旬に行った朝日新聞の世論調査では、カジノ解禁に賛成が27%、反対が64%を占めており、国民の理解が進んでいるとは言いがたい。
(二階堂勇)

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