18日 問う「共謀罪」言論人から

朝日新聞2017年5月15日34面:ジャーナリスト青木理さん(50)自由が死滅するそれでいいのか 政治や社会の矛盾に声を上げる人が疑われる社会は健全か。
公安警察を長く取材してきた。警察官の立場から「共謀罪」を見てみよう。「共謀罪ができればテロを防止できる」と政府が言う。まじめな警察官であれば何を考えるか。犯罪が起きる前だから、供述が立証の柱になる。それだけに頼っては冤罪だらけになる。そっと物証が欲しい。
「通信傍受を縦横無尽に使いたい。司法取引も」と考えるだろう。テロリストが重要な話し合いをメールや電話だけで済ませるとは思えない。「秘密盗聴もさせてほしい」となる。まじめに捜査しようと思うほど、「もっと武器を」となる。
日常的に、捜査当局が「こいつは罪を犯す可能性がある」と見なす個人や団体を監視しなければならなくなる。事前に取り締まろうとすれば、そうせざるを得ないからだ。
2010年に、警視庁公安部の内部資料と見られる情報が流出した。イスラム教徒というだけであらゆる情報を吸い上げ、24時間態勢で監視、尾行して家族の交友関係まで調査していた。公安の手法を、ある警察幹部は「点が線になり、線が面になる」と説明してくれた。
治安組織とは古今東西、社会体制の左右問わずそういうものだ。アメリカの国家安全保障局(NSA)は、同時多発テロ後のわずか10年ほどで世界中の電話や通信を盗聴するような化け物に育ってしまった。
共謀罪ができれば、公安警察的な捜査が際限なく広がる。安全安心を究極的に追い求めれば、自由やプライバシーは死滅する。それでいいのか。(聞き手・後藤遼太)
あおき・おさむ 共同通信記者を経てフリーに。公安警察の取材が長く、著書に「日本の公安警察」「ルポ 国家権力」など。

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