16日 「出会い系バー」報道波紋

朝日新聞2017年6月13日33面:読売新聞掲載「公共の関心事」と説明 読売新聞が、前川喜平・前文部科学事務次官が「出会い系バー」に通っていたと報じた5月の記事が、波紋を呼んでいる。「不公正な報道」などと批判が出ていることに対し、同紙は今月、「公共の関心事であり、公益目的にもかなう」と説明する記事を掲載した。
3日、読売新聞社会面に東京本社の原口隆則社会部長名の記事が掲載された。5月22日付けの「前川前事務次官 出会い系バー通い」という記事に対して「不公平な報道であるかのような批判が出ている」ことに対し「批判は全く当たらない」との見解を示した。
22日の記事は、前川氏が在職中、平日夜に東京・歌舞伎町の出会い系バーに出入りしていたことを報じた。店について「売春や援助交際の交渉に場になっている」とし、店の関係者への取材をもとに、前川氏が女性と店外に出たこともあったと伝えた。
前川氏については、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐり、5月25日付け朝日新聞や同時発売の週刊文春が「行政がゆがめられた」などと証言するインタビューを掲載した。
読売新聞の記事掲載のタイミングや内容について、山井和則・民進党国会対策委員長は同日、国会内で記者団に「前川氏のスキャンダル的なものが首相官邸からリークされ、口封じを官邸がしようとしたのではないかという疑惑が出ている。背筋が凍るような思いがする」と述べた。
前川氏は25日の記者会見で、出会い系バーについて「女性の貧困を扱う報道番組を見て、話しを聞いてみたくなった」と理由を説明。読売新聞の報道について、権力からの脅しかと問われると「そんな国だとは思いたくない」と語った。
一方、菅義偉官房長官は26日の会見で、「教育行政の最高の責任者が、そうした店に出入りして、小遣いを渡すようなことは到底考えられない」と批判。荻生田光一官房副長官は31日の衆院農水委員会で「政府として情報をリークしたという事実はない」と否定した。
3日付読売新聞の社会部長名の記事は「独自の取材で(略)つかみ、裏付け取材を行った」「次官在職中の職務に関わる不適切な行動についての報道は、公共の関心事であり、公益目的にもかなうもの」「本紙報道が(略)前川氏の『告発』と絡めて議論されているが、これは全く別の問題」とした。
「中途半端で甘い記事」「権力監視の役割は」 逢坂巌・駒沢大准教授(政治コミュニケーション)は「私的な行為は報じる価値がないと、読売新聞を批判するのは拙速だ」と言う。「次官は立派な権力者で、その私的行動も権力監視の対象になることがある」。その上で、今回の記事について「読売は権力監視の一環だと言いたいのかもしれないが、前次官の買春を批判しているようにも読める裏付けするファクトは示していない。中途半端で甘い記事だ」と話す。
元読売新聞記者でジーナリストの大谷昭宏さんは出会い系バーの記事が東京、大阪、西部(福岡)の各本社の紙面で同じ扱いだったことに注目する。ほかの記事は各紙面で見出しや扱いが異なる部分がある。大谷さんは「会社の上層部から指示が出た可能性が高い」との見方を示した。
読売新聞をめぐっては5月3日付朝刊で、安倍晋三首相の憲法改正についての単独インタビューを掲載。国会で安倍首相が「読売新聞に書いてある。ぜひ熟読していただいてもいい」と発言し、物議を醸した。同紙はこの報道についても13日付朝刊で東京本社編集局長名の記事を載せ、憲法改正について首相の考えを報道することは「国民の関心に応えることであり、本紙の大きな使命」と説明した。
岩渕美克・日大教授(政治学)は「インタビューと首相の発言で政治とメディアの距離に目が向けられる中、出会い系バーの記事が出たことでさらに疑いを招いている。メディアの本来の役割は、一定の距離をとって権力を監視することだ」と話す。社会部長名の記事について「『読者に誤解を与えている』と思ったからこそ出したのだろうが、出会い系バー報道がなぜこのタイミングだったのかなど、読者の疑問に必ずしも明確に答えていない」と話す。読売新聞グループ本社広報部は、出会い系バーの記事が3本社で同じ扱いだったことについて「扱いや見出しが同じになるのは日常的に起きています」と文章で回答。記事の反響については「一部報道等の誤った情報に基づいたご批判の声も寄せられていますが、本紙の報道を支持する声は数多く届いています」とした。

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