13日 父の愛した曲 葬儀で流せない?

朝日新聞2017年5月10日夕刊8面:JASRAC「営利行為なら要承諾」 葬儀で個人が好きだった曲を流そうとしたら葬儀会社に止められたー。そんな訴えが、ツイッターで話題になった。障壁になったのは「音楽を流すのは葬儀会社の営利行為」という著作権をめぐる論理だ。葬儀と著作権の関係はどうなっているのか。
主体は業者か遺族か割れる ツイッターで発信したのは千葉県八千代市のミュージシャン、佐藤龍一さん(64)。2月につぶやくと、リツイートが7千回以上に。「(葬儀会社の対応が)行き過ぎな気がします」などのコメントが寄せられた。佐藤さんは1月末、同居する90代の父親を亡くした。葬儀で父親が好きだった北海道の民謡「江差追分」を流したいと葬儀会社に申し出たが、断られた。
担当者は、著作権の関係で遺族から持ち込まれる曲はかけられない、との趣旨の説明をしたという。著作権が切れている民謡は、再生だけなら法的な問題はないが、葬儀会社にはその認識がなかったようだ。
結局、江差追分は火葬場を往復するバスの中で、姉が携帯電話から再生して皆で聞いた。「父の死から葬儀まで慌ただしいかったので業者に従ったが、やっぱりおかしい」と佐藤さんは釈然としない。
著作権法は、楽曲を自由に使える状況を原則として非営利の場合に限っている。つまり、営利で日本音楽著作権協会(JASRAC)などが著作権を管理する楽曲を使う場合には、管理者の承諾が必要。音楽教室での使用をめぐっても議論になった。
葬儀場で流す音楽はどうなのか。「葬儀を仕切るのは業者なので、営利です」とJASRACの広報担当者は説明する。遺族が持ち込む音源でも、葬儀会社が用意する装置で流せば「流す主体は葬儀会社という解釈」という。従って、葬儀会社がJASRACと契約しなければ、遺族は葬儀場で望む音楽をかけれれないという理屈だ。
関東と関西を中心に50以上の葬儀ホールを運営する燦(さん)ホールディングスは2009年からJASRACと契約している。ただ、業界誌によると、契約しない業者は多く、士族の持ち込みを断る葬儀会社は多そうだ。
一方で、JASRACの見解には異論もある。葬儀の研究をしている井上治代・東洋大元教授は「個人が望む別れを遺族が実現する形の葬儀が広がっている。その場合、葬儀は故人と遺族の共同作業だ。葬儀会社のサービスを利用する場合でも、思い出の曲を持ち込んで流す主体は故人と遺族ではないか」と指摘する。音楽活動を通じて著作権にも関わってきた佐藤さんも同じように語る。「葬儀は喪主が行うもので、葬儀会社はのそ手伝いに過ぎない。葬儀の音楽は営利ではないはず」
著作権法を所管する文化庁に問い合わせてみると、「個別の解釈の妥当性を判断する立場にない」として、JASRACの会社への見解は示さなかった。(長野剛)

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