12月7日てんでんこ 皇室と震災Ⅲ【19】

朝日新聞2017年12月1日3面:ユリーの大産地。しかし、ビニールハウスは大雪でつぶれた。 2014年2月に東日本を襲った大雪で、埼玉県深谷市は約105億円の農業被害を受けた。死者や行方不明者はいなかったが、天皇、皇后両陛下は「現地で話を聞き、様子を見て慰めたい」と訪れることになった。深谷市はユリの一大産地。年間生産量約2300万本で06年には全国1位になった。例年、さほど雪は降らない。ビニールハウスは雪害対策をとっておらず、雪でつぶされて壊滅的な被害を受けた。12万本のユリが被害にあった農家の植竹好宏さん(48)は14年10月、両陛下と面会することを内々に打診された。「私たちみたいな普通の農家を気遣って下さるのか」とありがたく思った。一方で、妻久美子さん(48)は「この一帯が意気消沈している中、うちだけ来てもらっていいのか」と複雑だった。発生直後、これから食べていけるのかと廃業を考えた時期もあった。「両陛下に来て頂いても、褒められるわけではないからね」
それでも、両陛下は14年11月20日、植竹さんの畑にやってきた。約20分、再建したばかりのビニールハウスでユリの球根を植え付ける作業を見てまわった。大雪の後、深谷市の苦境を知って全国からユリ農家約100人が駆け付け、倒れたハウスの片付けをしたという話を聞いた陛下は「各地の皆さんが協力して、復興を遂げている話、心強く思いました」と話した。
皇后さまは久美子さんに「お疲れだったでしょう。お体、無理をされないで下さいね」と言葉をかけた。面会に後ろ向きだった久美子さんだが、「私たちのユリや深谷市全体をねぎらってくれた気持ちがうれしかった」。深谷の花き農家として、自信を取り戻せた気がした。
宮内庁によると、両陛下は大雪あった06年のほか、11年からは毎年、雪害にあった道県にお見舞いの金一封を送っている。14年2月の天皇誕生日にあたっても、「新聞に大きく取り上げらるような災害ではありませんが、常々心に掛っていることとして多雪地帯での雪害による事故死があります」と述べた。
「そこで生活している人の生活基盤が失われたら、規模にかかわらず、大きな被害だと両陛下はお考えになっている」と宮内庁関係者は明かす。(緒方雄大)

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