12月3日 サザエさんをさがして 清酒

朝日新聞2019年11月30日be3面:個性化進み世界各地で生産 特級酒に釣られ、朝から2食抜きでそばの大食いに挑んだマスオさん。余裕ある店主の笑顔からすると、勝負に負けて、食事代を払う羽目になる可能性が髙そう。作品の掲載は1950(昭和25)年、復興途上で清酒は生産量も少なく貴重品。中でも高価な特級酒となればお宝扱いだっただろう。清酒を等級に分ける級別制度は戦時統制の産物だった。始まったのは43(同18)年。上位ランクほど高い税率をかけ、国は税収増を図った。それが戦後も生き延びて、特級、1級、2級の3段階に整備され、全廃される92(平成4)年まで約半世紀続くことになる。格付けは地方国税局の酒類審議会が行った。酒造会社が出品して官能審査に合格したものが特級、1級に。審査に出さない清酒は自動的に2級とされた。日本酒造組合中央会の宇都宮仁理事は「審査基準があり、特級、1級と級別にどれも大体同じような酒になった」と振り返る。画一的で消費者にとって選択肢は狭いものの、単純ではあった。しかし格付けには原材料に関する規制もなく、審査に参加せずに2級酒として売る高品質の酒が増え人気を博した。級別表示が必ずしも味や品質の差を反映しなくなり、平成初期に廃止。代わって導入されたのが、吟醸、純米など「清酒の製法品質基準」に基づく特定名称酒の区分だった。使用原料、製法、原料米の精米歩合などに関し国税庁の定める要件を満たす酒で、全部で8種類。酒のラベルに「純米」「吟醸」「本醸造」のいずれかの語があれば、特定名称酒だ。清酒の出荷量がピーク時の3分の1以下に減少している中で、特定名称酒は堅調。清酒全体の35%を占めるまでになっている。一般的に、吟醸酒はフルーティーで華やかな香りにクリアな味わい、純米酒は米の風味があって比較的酸味とうまみが多いとされる。ただ同じ分類の酒でも、使う米の品質や酵母、管理方法など様々な要素で味わいは変わる。表示だけで、酒の味を判別するのは難しい。戦後に大勢を占めた、後口が甘く重い酒から、地酒ブーム、新潟の酒に代表される淡麗辛口と、時代が移るにつれて人気を集める清酒の味も変わってきた。今のトレンドについて宇都宮理事は「甘酸っぱさが好まれるなどの傾向はあるが、一つのパターンには収まらない。むしろ各蔵はいかに他と違う酒を造るかを模索し、多様化、個性化が進んでいる」と話す。背景には、酒米の新品種開発、酒造りの技術革新、低温流通の完備などによって、多彩な味わいの表現が可能になった状況がある。今は最もおいしく手軽に清酒を味わえる時代と言っても過言ではないだろう。さらに、清酒の産地は日本以外にも広がっている。「全黑」はニュージーランド・クイーンズタウンで造られる銘柄。杜氏のデイビッド・ジョールさん(57)は、もろみを混ぜる櫂棒に、同国に生えるマヌカの木を使う。まろやかな味わいの酒は「日本料理だけでなく、様々な料理と合う」と話す。日本の清酒情報の今田周三館長によると、米国、中国などに清酒工場があり、さらに米国など9カ国に小規模醸造所が約30カ所あるという。清酒のグローバル化で、さらに新しいタイプの酒と出会えるかもしれない。(大村美香)

 

 

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