12月3日 オトナになった女子たちへ 益田ミリ

朝日新聞2019年11月29日21面:スマホを忘れて ランチバイクキングに行く? と母にメールをしたら、行きます。と返事がきた。即答である。早速、京都のホテルのレストランの予約をし、帰省したときにふたりで出かけて行ったのだった。せっかくなので観光もしようと京都駅から歩いて10分ほどの渉成園へ。こんなに便利な場所に、こんなに大きい日本庭園が? 初めて訪れてびっくり。紅葉にはまだ早かったが池のまわりをぐるりと散策。小さな橋も渡る。池の中で一羽のサギがじーと立っていた。渉成園からは京都タワーがよく見えた。観光も終えバイキングへ。しかし、ここで問題発生。ホテルの場所がわからない。京都駅に着いたらスマホで調べればいいやと思っていたのだが、そのスマホを家に置いてきてしまったのである。どうしたものか。観光案内所まで戻って聞くもの面倒だし。電話番号案内サービスでホテルの電話番号を聞けばいいじゃないか? とはいえ、スマホに頼りっきりの生活で番号もあやふや。昔はよく利用していたというのに。「確かこの番号と思う」母のガラケーでかけてみたら「ピッピッピッピー午後0時50分・・」と時間の案内。ふたりで大笑い。いやいや、笑っている場合ではない。予約の時間がせまっている。すぐそばに会社員風の若い男の子がいた。彼はスマホで漫画を読んでいた。わたしは大切なことを思い出した。困ったときは人に助けてもらえばよいのだ。彼に声をかける。「すいません、スマホ忘れてきてもうて、ごめんやけど都ホテルの場所、ちょちょっと調べてくれへん?」ちょちょっと、という言葉は便利だ。「簡単に済むことを頼んでおります!」というのを瞬時に表現できる。彼がちょちょっと調べてくれたおかげでランチバイキングにも間に合った。なんと、100種類のランチバイキングである。「お母さん、サラダはやめとこ、おなか膨れるし」「うん、わかった」あれこれ食べて、その夜は夕飯抜きで寝床について。(イラストレーター)

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