12月29日 未来ノート 白井健三

朝日新聞2017年12月24日21面:遊びから入った ほったらかし観察力開花 両親は大学生まで体操選手で、男ばかりの3兄弟は幼いころから体操に親しんだ。絵に描いたような体操一家だが、三男の健三(21)が興味を持つきっかけは遊びにすぎなかった。健三がまだ3歳のころ、父の勝晃さん(58)は勤務先の横浜市内の女子高で、近所の子どもたちを受け入れて指導を始めた。現在経営する「鶴見ジュニア体操クラブ」の原点である。
小学校、幼稚園とコースを新設すると、指導の手が回らなくなった。子育てに忙しかった元教員の母・徳美さん(53)もかりだされ、3兄弟は毎日、体育館に連れてこられた。ほったらかしにされた3人が確保した安全な場所はマットとトランポリン。見よう見まねで転がったり、跳んだり。自分たちでルールを作って回数を競い合った。午後9時過ぎに帰るころには疲れ果てて、マットで眠っている日々だった。
「ほったらかしの環境が特別な才能を育んだ」と勝晃さんは振り返る。たとえば観察力。年上の子どもや兄を見て、どう体を動かしているのかをじっと見て、試してみる。その習慣が、高度な技を頭でイメージしただけで再現する能力を磨いた。5歳のとき、駄々をこねてオープン参加した横浜市のジュニア大会で、初めての技を次々に成功させたことがあった。小学1年で、女子の指導に取り入れていたダンスの演技を見ていただけで、20人分すべてを踊ったこともある。
自身も中学2年から高校卒業まで所属した、実家の体操クラブはいまや体育館を二つ持つまでになった。夏と冬のオフに帰る健三にとって、そこはいまでも憩いの場だ。「小さい子から高校生まで年齢層が幅広いので、いろんな体操が見られる。それが楽しい」遊び感覚は日の丸を背負うようになったいまも変わらない。代表合宿の練習の合間に、嬉々としてトランポリンで飛びはねる健三の姿はいつものことだ。(潮智史)

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