12月19日 オトナになった女子たちへ 伊藤理佐

朝日新聞2017年12月15日33面:今日はチャレンジャー 駅から乗ったいつものバスの中で、ムスメがプッと、笑う。「今日の運転手さん、チャレンジャーの人だね」 ああ、ホントだねえ、とコソコソ笑う。「次は〇〇というバス停ですよ~」というアナウンスを、どんだけくずして言うか「チャレンジ」しているようにしか聞こえない運転手さんがいるのだ。例えば、「次は本町一丁目」を、「ィは、ォンチョ、ィチョウ ェ」と、言うのだ。初めて乗った外国の人、降りられないよ。日本語だとわかる自分の能力が不思議なくらいだよ。
「次は南中町四丁目」などは、「ィは、ィアィ ァアチョ ヨ・・チョゥ ェ」になる。本当なのだ。何年か前、電車でそういうアナウンスがあって話題になり、流行語かなんかになった、というニュースがあった。わたしはそれを知っているので、なぞって楽しんでいられるんだが、知らない人はどう思っているんだろう。皆さん、逆らうことなく聞いているね。どうも、チャレンジャータイプが、このバス会社には2.3人いる。日替わりだ。
別の日、バスに乗ったムスメが驚いている。「今日はシンセツだね」 あ、ホントだ、と笑う。別のタイプが就職した? 「発車いたしますっ」「バス、揺れますっ」「左に曲がりますっ」テイネイでハッキリだ。「次は本町一丁目ですっ」「通過いたしますっ」「道が混んでおりますっ」「後ろのドアの前のボク、黄色い線を踏まないでね、危ないですっ」まで、言っちゃうのだ。「シンセツすぎるね」と、ムスメ。小2はチャレンジャーのほうが好きらしい。夜、話をヨシダサンにすると 「・・ンシュ、・・ゥ、ッパィダサ ィ」と、きた。「日本酒、もう1杯」くださいと言っているのだ。わたしは「・・ギ、デス」と目をつむった。「飲み過ぎです」と言ったのだ。伝わったようだ。(漫画家)

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